相続専門税理士 髙原誠の「円満相続コラム」

フジ相続税理士法人 代表税理士 髙原誠のコラムページです。相続・不動産に関する最新情報やホットな話題をわかりやすくお伝えします。

7月1日路線価発表!しかしうのみにしてはいけません。

2016年7月6日 [ 相続 ]

rosenka3

皆さまこんにちは!相続専門税理士の髙原誠です。

今年も7月1日に「路線価」の発表がありました。相続税や贈与税における土地評価の基礎となる数字(=課税の基礎となる数字)ですから時価ほどは乱高下しませんが、「相続と不動産に強いフジ総合グループ」としては、やはり動向が気になるところです。

今年の路線価の傾向は

今年の路線価は、三大都市圏の上昇傾向が地方へと広がり、札幌や金沢、広島、福岡等の中核都市は横ばいまたは上昇に転じる結果となったようです。

賃貸業に特化した展示会などに出てみますと、昨年・一昨年とは違って人の集まり具合が変わってきました。明らかに賃貸市場は再び盛り上がりを見せつつあります。不動産屋さんにも話を伺いますと、不動産の売買もそれまでと比較して活発に行われているようです。都心は高値を警戒している、という人もいらっしゃいますが、概ねマインドが上昇している証ですね。そのような状況が路線価にも反映されているのでしょう。

今後は上昇した路線価(あるいは上昇基調にある路線価)による評価額を相続時・贈与時”だけ”はいかに低く抑えるようにするのか?実務家の皆さんにはその実務家としての働きが期待されるところです。

そして「イギリスのEU脱退」という経済にとっては大きなニュースがありましたが、今後は日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。路線価の動きを予測する上でも、景気の動向には注目していく必要があります。

そもそも「路線価」とは

rosenka2

路線価とは、「その道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの千円単位の価額」です。その年の1月1日における価格が7月1日に税務署(正確には各国税局)より発表されます。

この路線価に土地の状況に応じて各種の補正を加えつつ、対象不動産の地積を乗じて相続税の評価額とする方法が「路線価方式」と呼ばれる評価方式です。ただし、諸々の補正を読み解くには知識と経験も必要なため、ご自身で計算する際は注意が必要です。また税理士などの専門家を選ぶ際も、「知識と経験が豊富な専門家」という視点が重要となります。

ところで、今年の3月22日に国土交通省から公示価格が発表されました。公示価格とは毎年1月1日時点の公平的な土地の価格の目安となる数値のことです。路線価はこの公示価格を参考にして決定されますので、公示価格が上昇すれば路線価も上昇、公示価格が下落すれば路線価も下落、と路線価の価格変動を前もってイメージすることもできます。

路線価をうのみにしてはいけない!

路線価をうのみにしてはいけない!

さて、先ほど「路線価とは、『その道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの千円単位の価額』」と言いましたが、どのような道を「道路」と呼んでいるかお分かりですか?ここで言う「道路」とは、「建築基準法第42条で定められた道路」を指しています。

路線価は本来、宅地(建物の敷地)を評価する目的で設定されるものです。そして、土地に建物を建てるためには、原則としてその土地が「建築基準法上の道路(建築基準法第42条で定められた道路)」に接している必要があります。したがって、「建築基準法上の道路」ではない道に路線価を付すことは本来、適切ではありません

しかし実務上は「建築基準法上の道路」以外の道に路線価が付されていることは少なくありません。本日は、路線価を見直すことで600万円以上の評価減となった事例をご紹介します。

【事例】単なる通路に付された路線価を見直し、600万円以上の評価減に

Aさんが相続した450㎡の田んぼは、幅2mほどの狭い道路に接していました。いわゆるサイクリングロードです。当初の申告では、付設されている路線価5万円/㎡を基に評価額を計算していました。

単なる通路に付された路線価を見直し、600万円以上の評価減に1

ところが、相続税の見直しを受けた当グループが管轄役所で調査したところ、「北側の道路(サイクリングロード)は建築基準法上の道路ではなく、単なる通路である。この通路だけに面している土地の場合、建物の建築は不可能。」との事実確認がとれました。

つまり、サイクリングロードの路線価は考慮する必要がなかったのです。準無道路地となった田んぼには新たに減額補正を織り込むことが可能となり、600万円以上の評価減となりました。

単なる通路に付された路線価を見直し、600万円以上の評価減に2

※事例における数値及び図は、説明の関係上簡略化しています。

不動産(土地)にとって道路は命です。

道路に面しているのかいないのか? 面している間口距離は? 面している方角は? …不動産に携わったことのある人ならば、土地にとって道路がいかに重要な価格決定要素であるかはお分かりのことと思います。土地は建築基準法上の接道義務を満たしていなければ、原則として建物を建築することが出来ません。

接道義務を満たしている土地の価格を100とすると、同一地域の接道義務を満たしていない、いわゆる「無道路地」の価格は32(半値8掛け2割引き)に下がると不動産取引市場の世界では言われるほど、非常に大きな差が出ます。

Aさんのケースの場合、税務署はこともあろうに、建築基準法上の道路ではない場所に「建築基準法上の道路と同じだけの効用があるものとして評価を行いなさい」というかのように路線価を付していたことになるのです。時価評価(不動産鑑定)の世界ではあり得ない話です。

路線価が発表されたこの機会に、ぜひ確認を!

路線価が発表されたこの機会に、ぜひ確認を!

このように税務署は建築基準法や道路法で「道路」と認定されていない、一見して「道路」に見える「道路的敷地」に対しても路線価を付していることがあります

相続税は自己申告納税制度です。お持ちの土地の周囲にある「道路」。それが建築基準法や道路法で道路と認定されているのかどうか、確認しないまま評価を進めるととても危険です。

路線価が発表となったこの機会に、自身の財産は自身で守る、という前提に立って道路の確認をしてみましょう! 役所に行けば簡単に確認できます。不動産活用の観点からも非常に重要な作業だと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました!