相続専門税理士 髙原誠の「円満相続コラム」

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今後に注目!検討が進む税制改正案(1)

2016年7月20日 [ 相続 ]

今後に注目!検討が進む相続に関連した税制改正案(1)

皆さまこんにちは!相続専門税理士の髙原誠です。

去る3月29日に平成28年度の税制改正が成立したことを受け、コラムの中で相続税に関する改正を中心にその内容を取り上げました。

今押さえておきたい、3つの税制改正トレンド(1)
今押さえておきたい、3つの税制改正トレンド(2)

今回は、見直しが議論されながらも結局今年度は取り上げられなかった改正案について、相続税関連を中心に考えていきたいと思います。

注目したい改正案はこの3つです。

1.遺言控除
2.タワーマンション節税の規制
3.小規模宅地等の特例の減額幅引き上げ

今回は「遺言控除」と「タワーマンション節税の規制」に関する改正案についてご紹介します。

遺言控除

遺言控除

平成27年7月9日付の朝刊各紙で、「遺言控除」の新設が検討されていると伝えられました。これは遺言による相続を条件に相続税の控除を認めるというもので、遺言の普及を図るねらいがあるのでしょう。

▼「遺言控除」で相続トラブル防止 自民特命委が新設要望へ(日本経済新聞 2015/7/9)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H54_Y5A700C1PP8000/

期待される効果としては、①争族トラブル防止、②介護者(多くの場合、相続人やその配偶者)の介護への貢献に見合った遺産分割をしやすくして自宅介護を促進すること等が挙げられます。

現時点では制度の概略が分かりませんので何とも申し上げられない部分もありますが、実務を考える上で気になる点を挙げてみます。

1.遺言の方式(自筆証書・公正証書・秘密証書など)を問わず、いずれも遺言控除の対象となる?
2.いつの時点で書いた遺言が対象になるのか。法律施行前に書いた遺言にも適用される?
3.法的に有効な遺言が残されていても、遺言を使わず遺産分割協議により相続財産を分割することがある。その場合も遺言控除は適用される?
4.遺言控除(節税)目当てでの、相続人による遺言の捏造・遺言作成の強要が増加しないか?(他方で自筆証書遺言のルール簡略化も検討されています)
5.大幅に増加すると予想される遺言作成希望者に、公証役場は対応しきれるのか?

控除額がいくらになるのか等、法案が出てくるまではっきりしませんが、平成29年度の導入を目指しているとのことですので、来年度の税制改正の俎上に再び乗るのかどうか注目されます。

タワーマンション節税の規制

タワーマンション節税の規制

タワーマンションを利用した相続税節税策が近年盛んです。とはいえ、「タワーマンション節税」という独自の方法が元々あったわけでありません。従来からある相続税の評価方法にのっとってタワーマンションの敷地と建物を評価すると、たまたま時価との乖離が激しかった(時価よりも相続税評価額が大幅に低い価額となった)、というだけの話だと個人的には感じます。

それが、一部の方が相続開始前にタワーマンションを購入し相続開始直後に売却したことによって、時価との乖離が非常に目立ち、問題視されるようになったという経緯があります。課税庁としては「相続税評価では高層階でも低層階でも同じ評価額になってしまう」という点が問題であり、そこで、高層階になるほど評価額が高くなるように制度設計をしようと考えているようです。

早ければ平成30年からの規制が検討されています。今後のことを考える上で気になるのは、次のような点でしょうか。

1.何をもって「タワーマンション」と言うのか。高さ(height)により決まる? それとも階数?
2.この節税手法は「タワーマンションは値崩れしない」ことを前提に成り立っているが、本当に値崩れしないのか?

東日本大震災の後には、タワーマンションは一時、人気が落ちました。投資リスクを考えると、手持ち資金を全てタワーマンション(あるいはそれを含めた不動産など一つの種類の財産)につぎ込んでしまうのは避けた方がよいかもしれません。

やはり家族構成や財産状況を十分考え合わせたうえで、慎重に判断すべきでしょう。 

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いかがでしたでしょうか。
今回は今後注目される3つの税制改正案のうち、2つを取り上げました。次回は「小規模宅地等の特例の減額幅引き上げ」について考えていきたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました!