相続専門税理士 髙原誠の「円満相続コラム」

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生前の準備が大事!準確定申告に備える(1)

2018年12月25日 [ 相続 ]

準確定申告

 

みなさま、こんにちは。相続専門税理士の髙原誠です。 年が明けるといよいよ確定申告のシーズン。そこで確定申告を取り上げたいと思いますが、確定申告は確定申告でも、相続発生後に行う「準」確定申告がメインテーマです。

 

亡くなった人に代わって申告する「準確定申告」

1月1日から12月31日までを課税期間として個人の所得を計算し、所得税を申告するのが通常の確定申告です。

では、期間の途中で確定申告義務のある人が亡くなった場合はどうでしょうか? その場合、亡くなった日の翌日から4か月以内に、故人の相続人が確定申告を行わなければなりません。これが準確定申告です。

 

準確定申告をする必要のある人は?

会社員など一つの勤務先からの給与だけを受け取っている人が年の途中で亡くなった場合は、通常の確定申告同様、準確定申告は不要のことがほとんどです。年金を受給していた人も、受給額が400万円以下、かつその他の所得が20万円以下なら準確定申告の義務はありません。

準確定申告が必要な人の代表的な例は個人事業主です。本記事をお読みの方はマンションや駐車場などの賃貸経営をなさっていることが多いと思いますので、以降はそのつもりでお話しします。

具体的には、収入や経費、医療費、生命保険料などを取りまとめて所得税を計算しますが、準確定申告のためのこれらの作業をするのは当然、亡くなった本人ではなく相続人(もしくはその家族)です。ここに落とし穴が待っています。

 

準確定申告に頭を抱える子どもたち

「何をどうすればいいんですか?」これは、私たちに準確定申告の相談をくださる相続人(お子さん)からよくいただく質問です。「親が生前、通帳や経費の領収書を一人で抱え込んでいて、何をどう集計していたのか全くわかりません」。下手をすると、「入居者がどこの誰なのかわからない」「賃貸借契約書がどこにあるのかわからない」。 お子さんが会社勤めなら、ご自身の確定申告の経験すらないかもしれません。そんな中、たった4か月で親御さんの所得を取りまとめるのです。ちょっと想像しただけでも難しさが分かるのではないでしょうか。

相続税の申告期間は10か月ありますが、それですら時間に余裕はありません。お葬式関連の手続きがだいたい1か月半から2か月くらい、それから財産の洗い出し、遺産分割協議、納税資金の準備…などとやっているとあっという間です。だからこそ生前の準備が大切といわれます。

所得税はもっと時間が足りません。期限を過ぎれば延滞税がかかりますし、青色申告の特別控除も期限内申告が適用要件です。 何とか期限内に申告しても、差し引けるはずの経費の領収書が後から出てきたり、収入の計上もれがあったりすることも少なくありません。余裕がない中での申告は、損につながりやすくなります。

 

お子さんに確定申告を手伝ってもらいませんか?
なぜそんなことになるのかといえば、単純に確定申告の経験がないからです。一度経験すれば「前へ習え」で、翌年以降は案外、簡単にできるようになります。事業をされている方、今年の確定申告は、ぜひお子さんに手伝ってもらいましょう。 部屋ごとに家賃や敷金、契約条件や入居者の情報等をまとめた一覧表(レントロール)があると便利です。

古馴染みの賃借人と現金だけでやりとりをしていることはありませんか? また、物件の修繕履歴や計画はご家族に話していますか? 確定申告は、こういった情報をご家族と共有するとてもいい機会です。 税理士に確定申告を依頼しているなら、打ち合わせに将来の相続人を同席させましょう。税理士がどんな人なのか、どんな話をするのか、どんな書類が要るのか、話し合いに参加するだけで勉強になります。

 

確定申告の経験が相続対策にもなる

確定申告を自分でしてみると、所有している不動産の特徴や価値が見えてきます。そして、親御さんの確定申告を手伝っていた方は、いざ相続が発生したとき、相続財産の基礎的情報を理解されているので、いろいろな手続きがスムーズです。

例えば納税資金を捻出するために不動産の売却が避けられない。そのような場合も、現状把握ができていれば、どの不動産を売却候補とするかの判断が早くつきます。遺産分割のために一つの土地を分筆したいなら、その土地の形状や接道状況を理解しておく必要があります。

時間的余裕を持つことはリスク回避の基本で、これは生前対策でも同様です。高速道路で急ハンドルを切るのは危険が伴いますが、曲がる方向を早めに把握しておけば安全に走行できるのと同じことです。期日に余裕があれば、結果的にコストも下がりやすくなります。

 

消費税も忘れずに

準確定申告というと所得税のことだけと思われがちですが、消費税にも準確定申告があります。賃貸経営の場合、居住用ならば賃料に消費税はかかりませんが、店舗や駐車場な
ど事業用の貸付で賃料収入を得ていたときは、消費税の準確定申告の必要の有無も要チェックです。

また、相続後は事業の開廃業の手続きなども控えています。最初の準確定申告でつまずかないように、今年の確定申告から準備しませんか?

 

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いかがでしたでしょうか?

第2回「生前の準備が大事!準確定申告に備える(2)」はよくある質問についてご紹介しています。

今回もお読みいただきありがとうございました!