相続専門税理士 髙原誠の「円満相続コラム」

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不動産小口化商品

2020年1月14日 [ 不動産 ]

不動産小口化商品
今回ご紹介するのは「不動産小口化商品」についてです。

賃貸不動産オーナーの二大お悩み

賃貸経営にリスクや苦労はつきもの。「自分は賃貸業に向いてないのかも…」「いずれは子供に事業を引き継ぎたいが、あの子にできるか心配…」そんなふうに思ったことはありませんか? 賃貸物件オーナーの代表的な悩みといえば、第一が「空室への不安」(入居者が付いてくれるだろうか?)、第二が「管理の手間への不満」(急な修繕の対応など、やることが多くて全然〝左うちわ〟じゃない!)ではないでしょうか。

複数の出資者が共同で不動産を購入

これらに頭を悩ませなくとも収益があげられる賃貸不動産があれば、夢のようですね。もちろん完全無欠ではありませんが、そんな希望に近づくメリットがあるとして最近人気なのが「不動産小口化商品」。
不動産特定共同事業法に基づく投資商品のことで、簡単にいうと、複数の出資者がお金を出し合って不動産を購入し、事業者に管理運営を任せ、得られた収益を分配するという仕組みの商品です。複数人で共同出資するので自然と小口化するわけですね。
 これにより、通常単独では購入できないような好立地の優良物件を比較的少額で取得でき、管理運用もプロに任せて手間いらず、ということになります。
 投資家から資金を集めて不動産を運用するというと、J‐REIT(不動産投資信託)とどう違うの? と思われた方がいるかもしれません。確かに、出資金の最終投資先が不動産である点は同じですが、REITは金融商品取引法のもと、証券取引所で取り引きされる、純然たる金融商品です。投資家は投資証券を購入することで投資法人に出資し、分配金を得ます。

不動産小口化商品

 一方、不動産小口化商品は、不動産特定共同事業を行う事業者と契約を結んで、その事業を展開します。投資対象は、基本的に特定の不動産(オフィスビル等)です。不動産特定共同事業にはいくつかの類型がありますが(図表1)、ここでは相続対策に適している「任意組合(現物出資)型」について書きます。
 

人気の理由は税金対策としての効果

一般的な「任意組合(現物出資)型」不動産特定共同事業では、まず、出資者と事業者が任意組合契約を結んで組合を組成します。次に、出資者は事業者から不動産の共有持分を購入し、その共有持分を組合に現物出資するという形をとります。
したがって、この契約形態では、出資者は小口化された不動産〝現物〟を所有することになります。「任意組合型」が相続対策として人気を集めている理由がこの点にあります。
つまり、不動産現物を所有するのと同じ資産圧縮効果が認められ、貸家建付地/貸家の評価減や小規模宅地等の特例も適用できるため、現金で資産を保有するよりも節税の効果があるからです。なお、分配金は不動産所得の扱いとなります。

相続まで待たずに子や孫に贈与するという選択肢もあります。贈与の場合、小規模宅地等の特例は適用できませんが、貸家建付地等の減額ができる点は相続税と同じですから、こちらも現金を贈与するより贈与税の負担が軽くなります。

 

購入するならゴールを決めて

不動産小口化商品2

よい点ばかり書いてきましたが、不動産小口化商品が投資商品であることに違いはなく、出資金の元本保証や分配金の保証は基本的にありません。魅力的な物件が多いとはいえ、他の不動産投資と同じく値下がりや空室、賃料下落の可能性があります。リスクのない商品ではないということは肝に銘じてください
投資対象がはっきりしているのはいいことですが、それだけに、物件選びは慎重に。立地や用途、構造、築年数といった物件自体の要素に加え、契約形態(匿名組合型か任意組合型か)、運用期間、一口の価格と出資単位、利回り、分配回数、諸費用(登記費用等)、贈与等の際の手数料などが検討材料になります。

また、実行するなら自分なりのゴールを明確にしてからです。事業の流れとしては、一定期間経過後に不動産を一括で売却し、売却代金を出資割合に応じて分配し終了するのが一般的です。
運用期間は物件によりさまざまです。相続を何年後くらいに想定しているのか、生前贈与するのであれば誰にどんなスケジュールで行うのか等を具体化しましょう。
なお、期間中途での小口の売却は取引市場が限られ、換金性が下がることが多いので注意してください。

 

土地オーナーの資産の組み換え先としても

以上のとおり、リスクがないとは言えないものの、魅力も多い不動産小口化商品。しかしながら現状、商品数が少なく、よい物件はすぐに売り切れてしまう傾向にあるのがネックです。いつも商品があるとは限りませんが、相続対策としての効果の検証などは私たちも承っていますので、興味のある方はご検討を。
金融資産が豊富な方だけでなく、郊外等に収益性のよくない不動産をお持ちの方も、資産の組み換え先として検討の価値はあると思います。資産価値の向上はもちろん、口数ごとに分割できることで遺産分割対策としての効果があることも、その理由の一つです。  
最後に水を差すようですが、私が一抹の不安を抱いているのは税制改正リスク。節税が行きすぎると、何らかの規制が入らないとは言い切れません。タワーマンション節税、生命保険による節税、世に出てくる節税策と税務署との闘いの例は、枚挙に暇がありません。