第16回 複数の貸家のある土地の評価上の区分を改め相続税還付(還付額約3000万円)

依頼者 K県S市 松原様(仮名)
きっかけ 懇意にしている不動産会社から当グループの相続税還付手続きを紹介され、相続税の見直しをおまかせいただけることになりました。
減額要因 ■複数の貸家のある土地の評価上の区分
複数の貸家のある土地(貸家建付地)は、賃貸借契約の目的になっている各棟の敷地ごとに評価することを原則とします。このときに物理的一体性、機能的一体性を鑑みて各建物が一体のものとして機能しているかを検討することが必要になります。本事例は、これに基づいて適正な評価単位を判定した結果、減額が認められたものです。

相続税還付・宅地化の見込めない市街地山林、トップページ

K県S市にお住まいの松原様(仮名)は、2年前にお父様から現金や預貯金、建物、土地などを相続されました。

あるとき、懇意にしている不動産会社から当グループの相続税還付手続きを紹介され、相続税の見直しをおまかせいただけることになりました。

松原様のご自宅に伺い、拝見した土地評価資料からは、主立った減額要素はないように見受けられましたが、続いて行った現地調査で、ある気になる点を見つけました。

依頼者の松原様が所有の土地は、路線価15万円/㎡の道路に面しており、法人に貸している建物が4棟(A・B・C・D棟)建っていました。各棟は外観からみて構造上独立しています。当初の申告はその4棟の敷地を一つの貸家建付地として1億5990万円と評価していました。私たちはこれに疑問を抱き、資料をお預かりし、一度、検証を行うことにしたのです。

機能的に一体かどうか

貸家の建つ宅地(貸家建付地)を評価する場合において、一団の土地に貸家が数棟あるときは賃貸借契約の目的になっている各棟の敷地ごとに評価するのが原則です。ただし、このときに外観からみて構造上の一体性が認められない場合であっても、「機能的に一体かどうか」を確認することがポイントになります。

松原様へのヒアリングや資料調査を行っていくと、A・B・C棟はK社と、D棟はM社と建物賃貸借契約を結んでいることがわかりました。このことから、まずA・B・C棟の敷地とD棟の敷地はわけて評価する必要がありました。

次にA・B・C棟が機能的に一体であるかを調べると、A棟はK社の事務所、B・C棟はその営業活動を行う上で必要な資材や物資等を保管しておく倉庫として利用されていることが判明しました。A・B・C棟は、K社の営業活動に不可欠なものであり、そのどれかが欠けても事業活動に影響を及ぼすことが容易に想像でき、この点でA・B・C棟は「機能的に一体である」と判定できました。

以上のことから、評価上の区分をA・B・C棟の敷地とD棟の敷地とに改め、A・B・C棟の敷地には広大地評価を適用したところ、その評価額は合計で9,833万円となり、6,100万円も減額されました。そして、他の土地の評価も見直して更正の請求を行い、税務署に認められ、松原様には約3,000万円もの相続税が戻ってきました。

相続税還付・宅地化の見込めない市街地山林、説明図

今回のポイント

複数の貸家のある土地(貸家建付地)は、賃貸借契約の目的になっている各棟の敷地ごとに評価することを原則とする。当事例のようにA・B・C棟が物理的に独立していていたとしても機能的一体性が見られる場合には、各棟の敷地を一画地の土地として評価する。

―この記事を書いた人―

藤宮 浩(ふじみや ひろし)(不動産鑑定士)
フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役

埼玉県出身。平成7年宅地建物取引主任者資格試験合格。平成16年不動産鑑定士試験合格および登録。平成24年ファイナンシャルプランナーCFP登録。主な著書に税理士・髙原誠との共著『日本一前向きな相続対策の本』(平成27年現代書林)、不動産鑑定士・小野寺恭孝との共著である『これだけ差が出る 相続税土地評価15事例 基礎編』(平成28年クロスメディア・マーケティング)、『現地調査・役所調査からみえてくる、相続税土地評価の減額要因』(令和元年税務経理協会)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。雑誌『家主と地主』への寄稿は70回を超える。

藤宮浩不動産鑑定士
藤宮浩
(不動産鑑定士)

髙原 誠(たかはら まこと)(税理士)
フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)副代表
フジ相続税理士法人 代表社員

東京都出身。平成17年税理士登録。平成18年税理士・吉海正一氏とともにフジ相続税理士法人を設立、同法人代表社員に就任。相続に特化した専門事務所の代表税理士として、年間約700件の相続税申告・減額・還付業務を取り扱う。不動産鑑定士の藤宮浩と共著あり(詳細は藤宮のプロフィールを参照)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。

髙原誠税理士
髙原誠
(税理士)

他の事例も見る(「事例に学ぶ!相続税還付のポイント」に戻る)

 

気になる相続税還付可能性をチェック!

数多くの申告書を拝見してきた経験から、相続税が還付されやすい傾向を15問にまとめました。当てはまる項目にチェックをいれるだけで、気になる還付の可能性が分かります。

相続税の還付可能性チェック

 

相続税を納めて5年以内であれば、相続税が戻ってくる可能性があります。
専門スタッフが還付の可能性を無料診断いたします(全国無料出張)。

詳しくは、お電話またはお問い合わせフォームからお問い合わせください。
お問い合わせフォーム