相続税還付(相続税申告後の方へ)

事例に学ぶ!相続税還付のポイント(第2回)

第2回 セカンド・オピニオンとして、
当初の申告が適正であったかを判断
(還付額 約2,200万円)

ご依頼

依頼者: S県O市在住 山下ご夫妻(仮名)
依頼内容: 当初の相続税申告の際、遺産分割等に注力したため、土地評価等の内容について十分な検討ができなかったとのこと。
「セカンド・オピニオン」として、申告内容が適正であったかどうか診断してもらえたら…」とのご相談を頂きました。
減額要因: ■被相続人の自宅敷地
広大地評価が適用になる可能性が高いにも関わらず、マンション適地として広大地評価がなされていなかった。
■借入金残高の転記ミス
転記ミスのため、負債を少なく申告していた。

住み込みのホームヘルパーがご夫妻に内緒で養子縁組

  山下ご夫妻の身に起こった相続は少々複雑です。
  山下ご夫妻は、親の従姉妹であるA子さん(92歳/女性)がご主人に先立たれ、子供もいなかったことから、将来的な同居も視野に入れ「養子縁組」をしていました。
  しかし、当時はご夫妻の子供の通学先が遠方である等の理由で、養親であるA子さんとの同居は難しく、月に1度程様子を見に行く関係だったそうです。その間、A子さんのお世話は、福祉施設から派遣されたホームヘルパーのTさんにお願いをしていました。
  その後、A子さんの健康状態が思わしくない日が続き、A子さん本人の希望があったことや、Tさんからの強い申出もあり、TさんがA子さんの自宅で住み込みの介護を行うこととなりました。
  ただ、そのころから徐々にTさんの言動や態度に不審な点が出てきたと言います。
  今まではとてもにこやかに対応していたTさんですが、住み込み始めてしばらくすると、ご夫妻がA子さん宅へ訪問することに対し、露骨に嫌な顔をするようになり、やがて家の中にも上げてくれなくなったとのこと。インターホンを鳴らしても居留守を使われることもしばしばあったようです。
  そんな状態を案じていた最中、ついにA子さんが亡くなり、相続が発生しました。

  A子さんの葬儀を終えた夜、ご夫妻は、ホームヘルパーのTさんから大変な事実を告げられます。実は、A子さんとTさんが養子縁組をしているというのです。Tさんによると、同居中にA子さんからの申出があり、ご夫妻には内緒で養子縁組の手続きを済ませてしまったとのこと。
  更に、いつの間にか公正証書遺言まで作られており、そこには「全財産をTさんに相続させる」という旨が書かれていました。
  ドラマのような話ですが、本当の話です。
  この事実を知った時、愕然として言葉も出なかったことは、想像に難くありません。しかし、死人に口なし。真相は闇の中です。
  ご夫妻は高齢のA子さんがTさんたちに仕組まれたのでは?と考え、遺言の「無効」を主張して争うことも考えたそうですが、相談した弁護士からも、既に公正証書遺言が残されている以上、「ひっくり返すのは相当難しい」との説明を受け、結局、遺留分減殺請求を行い、泣く泣く法定相続分の半分(夫妻合計でA子さんの相続財産の1/3)を相続することで決着しました。

当初の相続税申告は大手税理士法人で

  相続後10ヶ月内の申告については、断絶状態のTさんとは別の税理士事務所で行いました。
  ご夫妻が依頼をしたのは、金融機関から紹介された、スタッフが何十人もいるような大手税理士法人で、担当した若い税理士は対応もよく、申告手続きは無事終わったとのことでした。

セカンド・オピニオンで申告が適正か判断。約2,200万円の還付に成功

  申告からしばらく経過したある日、ご夫妻は当グループ代表 藤宮の相続税還付に関するセミナーに参加されました。「申告自体は何とか無事に終えたものの、遺産分割等に労力を割かれ、土地評価等の内容について検討する余裕がなかったので、『セカンド・オピニオン』として、申告内容が適正かどうか判断してもらえたら…」
  このセミナーがご縁となり、還付可能性チェックの依頼をお受けしました。

  申告書を入念にチェックしたところ、減額要因として当事務所が着目したのは、被相続人(A子さん)の自宅敷地(500㎡)の部分です。この土地は、都市計画法により、第一種住居地域(建ぺい率60%、指定容積率300%)に指定されていました。指定容積率が300%であることから、階層のある建築物を建てることが可能であること、また、最寄駅から徒歩5分と利便性に富む立地であることから、当初の税理士は、対象地を広大地ではなく、マンション適地と判断し、申告を行いました。

  しかし、実際は、対象地の前面道路の幅は4mしかありませんでした。前面道路の幅が12m以下の場合は、(前面道路幅員(m))×0.4×100で基準容積率(建築基準法第52条2項)を求め、この値と指定容積率を比較し、どちらか小さい方を容積率とします。今回は、[4m×0.4×100=160%<300%]つまり、容積率は160%であり、マンション適地が妥当とは言えません。
  また、道路を挟んだすぐ向かいには、開発道路を入れての戸建て住宅も散見されました。
  そもそも、広大地評価とは、開発した際、開発道路を入れることによって、無価値となる部分をあらかじめ考慮し、評価額を下げるための評価方法です。その例が目の前にあったということになります。
  以上の点から、広大地評価が適用になる可能性が十分にあると判断しました。

  更に、土地評価以外でも明白かつ重大な申告誤りが発見されました。借入金残高の転記ミスです。
金融機関発行の借入金残高証明書に記載されている借入金残高は3億7千4百万円であるのに対し、申告書の負債欄に記載されていた借入金の残高は3億4千7百万円。なんと、千万円の位と百万円の位が逆に転記されていたのです。これだけでも約2700万円も負債を少なく申告しており、その負債分をそのまま過大申告(相続財産を多く申告)していたことになります。

  スタッフが何十人もいるような大規模な税理士法人であっても、実際に申告作業を行うのは個々の税理士スタッフであり、有名な代表税理士が全ての申告業務を行うわけではありません。税理士事務所、全てに言える事ですが、どのような方が担当者になるかによって品質は大きく変わります。
  とはいえ、人間が作業を行っている以上、誰にでも必ずミスは起こり得るもの。やはり、二重三重のチェック体制は欠かせないものだと、われわれも襟を正す思いでした。
  結局、「広大地評価の適用」と「負債の転記ミス」の減額更正で、ご夫妻には約2,200万円もの相続税が還付されることとなりました。

今回のポイント

「一部の相続人に全ての財産を相続させる」旨の遺言書があったとしても、遺留分減殺請求をすることにより、法定相続分の1/2までの相続を受けることができる。
※相続人が直系尊属のみの場合は1/3まで

一見、マンション適地として「広大地評価」が適用できない土地であっても、前面道路幅員が4m等狭い場合には、全面道路幅員による容積率制限(建築基準法第52条2項)が掛かり、「広大地評価」が可能となる場合がある。

広大地評価」の適用が妥当かどうかはっきりとしない場合には、不動産鑑定士等による「広大地評価意見書」が有効となる場合がある。

相続人全員での還付手続きが望ましいが、困難な場合には、一相続人でも還付手続きは可能である。

相続税申告の現場でも、医療の現場と同様「セカンド・オピニオン」として、第三者の専門家のチェックは一般的になりつつある。

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