相続税還付(相続税申告後の方へ)

第5回 利用区分の違う敷地の一体評価を見直して相続税還付(還付額 約460万円)

依頼者: S県K市在住 大島様(仮名)
依頼内容: 自宅をはじめ、アパート、月極駐車場、貸倉庫、貸家、畑等、多くの不動産を相続。
当グループが相続・不動産に強い事務所ということもあり、セカンド・オピニオンとして、相続税申告見直しのご依頼を頂きました。
減額要因: ■4棟の貸家敷地を一体評価
土地の評価は、「敷地」ごと「利用区分」ごとの個別評価が原則であるにも関わらず、利用の異なる4棟の貸家敷地が一体で評価されていました。

当初の申告では、440㎡の「角地」を一体評価


今回は、S県K市在住の大島様(仮名)のケースです。

大島様はS県K市内に、自宅をはじめ、アパート、月極駐車場、貸倉庫、貸家、畑等を所有する郊外型の地主さん。お父様が亡くなられて、約4,000万円の相続税を支払った後のご相談でした。

この地域はもともと低層の戸建て住宅が広がっていたのですが、今から10年ほど前に幅員16mの『都市計画道路』が開通しました。この新たに開通した幹線道路沿いには、新規のガソリンスタンドやコンビニエンスストア、お弁当チェーン等が進出し、今では割と交通量の多い道路となっています。

今回、減額の対象となった土地は当該幹線道路沿いにある440㎡の土地です。また、4mの側道にも接しているため、西と南の二方の道路に面した「角地」でもあります。その土地上には、いわゆる「文化住宅」とよばれる4棟の貸家が建っていました。

申告書を拝見したところ、この土地に関しては、4棟の貸家敷地を全て一つの利用単位として「一体評価」し、全体を「角地」として評価がなされていました。また、16mの幹線道路に付された高い路線価(16万円)に面した土地であるため、評価額は全体で約5,881万円という高い評価となっていました。

一体評価

土地の評価は、原則「敷地」ごと「利用区分」ごと


土地の評価は、原則「敷地」ごと「利用区分」ごとに、個別に行わなければなりません。本案件は、一体評価となっていましたので、原則に従い個別評価を行うべく、評価の見直しを行いました。

まず、4棟の貸家敷地について現地調査を行い、実際の賃借人の土地利用状況を調査。また、役所で『建築確認概要書』等も閲覧しました。その結果、4棟の貸家敷地の西側の一部が都市計画道路の事業用地として削られており、貸家建築時の状態と前面道路の幅員・位置等が異なっているため、貸家建築時図面を基に区画できないことが分かりました。

そこで、建築確認上の各敷地の配置を参考にした上で、現実の利用状況に基づき、当フジ総合グループ内の土地家屋調査士に依頼して現況測量を行ったところ、イラストのように、A,B,C,Dに各貸家敷地を区分することが可能となり、それぞれ個別に評価することとなりました。

利用区分

路線価格の差や不整形地補正を活用

改めて各敷地について個別評価を行った結果、以下の3点が可能となりました。

Ⅰ.「角地」なのはB土地のみとなり、A,C,Dの土地は「一方路の土地」として評価することが可能となった。
Ⅱ.C土地とD土地は幹線道路沿いに付された16万円の高い路線価が外れ、側道に付された10万円の安い路線価で評価することが可能となった。
Ⅲ.C土地は、その土地自体は道路に接してはいないが、そこから延びる細長い敷地が道路に接する、いわゆる「旗ざお地」となり、「不整形地補正率0.76(減価率△24%)」を使用し、大幅な減額となった。

その結果、A土地の評価額は約1,312万円、B土地の評価額は約1,337万円、C土地の評価額は約872万円、D土地の評価額は約820万円となり、A~D土地全体の合計は約4,341万円となりました。
従って、当初の評価額よりも約1,540万円の評価減となり、大島様の相続税の税率は約30%でしたので、ここだけでも約460万円もの相続税が還付となりました。原則に従い、複雑な作業を丁寧に行った結果、相続税還付となったのです。

土地の評価というのは、ちょっとした判断や解釈の違いだけで大きな差が生じてしまいます。今回は、その典型的な事例の一つと言えるのではないでしょうか。

評価差の比較

今回の減額請求の内容

4棟の貸家敷地が「一体評価」されていたものを、貸家ごとに利用区分を変更し「個別評価」を行った結果、
①A,C,Dの土地について、いずれも「角地」でなくなり、「一方路」とすることで評価額が下がった。
②C,Dの土地について、幹線道路沿いに付された高い路線価が外れ、安い路線価による評価となるため、評価額が下がった。
③Cの土地は「不整形地」となり評価額が下がった。

今回のポイント

  • 土地の評価は、「敷地」ごと「利用区分」ごとの個別評価が原則である。

 

―この記事を書いた人―

藤宮 浩(ふじみや ひろし)(不動産鑑定士)
フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役

埼玉県出身。平成7年宅地建物取引主任者資格試験合格。平成16年不動産鑑定士試験合格および登録。平成24年ファイナンシャルプランナーCFP登録。主な著書に税理士・髙原誠との共著『日本一前向きな相続対策の本』(平成27年現代書林)、不動産鑑定士・小野寺恭孝との共著である『これだけ差が出る 相続税土地評価15事例 基礎編』(平成28年クロスメディア・マーケティング)、『現地調査・役所調査からみえてくる、相続税土地評価の減額要因』(令和元年税務経理協会)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。雑誌『家主と地主』への寄稿は70回を超える。

藤宮浩不動産鑑定士
藤宮浩
(不動産鑑定士)

髙原 誠(たかはら まこと)(税理士)
フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)副代表
フジ相続税理士法人 代表社員

東京都出身。平成17年税理士登録。平成18年税理士・吉海正一氏とともにフジ相続税理士法人を設立、同法人代表社員に就任。相続に特化した専門事務所の代表税理士として、年間約700件の相続税申告・減額・還付業務を取り扱う。不動産鑑定士の藤宮浩と共著あり(詳細は藤宮のプロフィールを参照)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。

髙原誠税理士
髙原誠
(税理士)

他の事例も見る(「事例に学ぶ!相続税還付のポイント」に戻る)

 

気になる相続税還付可能性をチェック!

数多くの申告書を拝見してきた経験から、相続税が還付されやすい傾向を15問にまとめました。当てはまる項目にチェックをいれるだけで、気になる還付の可能性が分かります。

相続税の還付可能性チェック

 

相続税を納めて5年以内であれば、相続税が戻ってくる可能性があります。
専門スタッフが還付の可能性を無料診断いたします(全国無料出張)。

詳しくは、お電話またはお問い合わせフォームからお問い合わせください。
お問い合わせフォーム