相続税還付(相続税申告後の方へ)

事例に学ぶ!相続税還付のポイント(第9回)

第9回 この農地の勾配は何度?
(還付額約160万円)

ご依頼

依頼者 K県S市 川口様(仮名)
きっかけ 当グループホームページから相続税還付セミナーの存在を知り、実際に聴講してさらに興味がわいたことから、土地の再評価を当グループへご依頼
減額要因 ■市街地農地の傾斜度が誤って把握されていた
市街地農地は倍率方式もしくは宅地比準方式で評価が行われ、平坦地と傾斜地では評価方法が異なり、一般に傾斜度が大きくなるほど評価額は下がる。
傾斜度の判定は、原則として、評価対象地に最も近い道路面の高さを起点とし、その土地の最奥部の点となす角度をもって行われるが、その角度が実際よりも小さく計上されていた。

市街地農地はどう評価する?

K県S市に畑地300㎡をお持ちの川口様(仮名)。これはお父様から2年前に相続したものです。当グループホームページから相続税還付セミナーの存在を知り、実際に聴講してさらに興味がわいたことから、土地の再評価を当グループへご依頼になりました。

今回の事例で鍵となったのは、「市街地農地の評価」です。財産評価基本通達によれば、農地は、農地法などにより宅地への転用が制限されており、また、都市計画などにより地価事情が宅地の場合と異なることから、その価額は、「純農地」「中間農地」「市街地周辺農地」「市街地農地」の4種類に区分して評価するものとされています。

「純農地」「中間農地」の評価は、その農地の固定資産税評価額に、国税局長が定める一定の倍率を乗じる「倍率方式」で行われ、また「市街地周辺農地」「市街地農地」の場合は、「倍率方式」のほか、「宅地比準方式」がとられます。

「宅地比準方式」とは、その農地が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額から、その農地を宅地に転用する場合にかかる1㎡あたりの造成費(宅地造成費)を控除し、それに農地の面積をかけて評価する方法をいいます。造成費は、整地、土砂の積み上げ、擁壁の構築等に要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が定めます。

平坦地と傾斜地では、造成費の計算方法が異なり、また傾斜地では、その傾斜度が大きいほど、造成費の金額が大きくなります。

資料と実際の傾斜度に違い?

土地評価資料を拝見すると、川口様の相続した畑地は「市街地農地」として、「宅地比準方式」により、隣接する道路に付された路線価18万円/㎡から宅地造成費を控除し、それに畑の面積をかけて計算がなされていました。この畑地は傾斜地であり、傾斜度は4度とのこと。計算ではこの傾斜度に該当する宅地造成費が適用されており、とくに問題はないように思われました。

しかし、実際に現地を案内していただくと、土地の傾きは、道路から見て前面部分は緩やかであるものの、奥は急傾斜となっていました。

傾斜度については、原則として、評価する土地に最も近い道路面の高さを起点とし、その土地の最奥部の点となす角度をもって測られます。

急傾斜部分でも畑作は行われており、奥まで含めると、評価対象地の傾斜度は4度以上あるように見えました。そのため、評価減が見込めることを川口様にお伝えし、本格的な調査を行うことにしました。土地家屋調査士による現地測量を行ったところ、評価対象地が接する道路と土地の最奥部のなす角度は約12度と判定。ちなみに、道路と緩やかな部分のなす角度が約4度でした。

これに基づき再計算を行い、まとめた評価意見書を税務署に提出して還付の請求を行ったところ、評価額は約400万円下がり、税額で約160万円の還付が認められたのです。

市街地農地(図)

市街地農地(計算式)

今回のポイント

市街地農地は、「倍率方式」のほか、「宅地比準方式」で評価される。「宅地比準方式」とは、その農地が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額から、その農地を宅地に転用する場合にかかる1㎡あたりの造成費を控除し、それに農地の面積をかけて評価する方法をいう。平坦地と傾斜地では、造成費の計算方法が異なる。また傾斜地では、その傾斜度が大きいほど、造成費の金額が大きくなる。

傾斜度については、原則として、評価する土地に最も近い道路面の高さを起点とし、その土地の最奥部の点となす角度をもって測られる。

傾斜度のある市街地農地が「宅地比準方式」で評価されている場合、その角度に応じた適切な宅地造成費が控除されているかどうかなど、一度、確認してみよう。気になる点があれば、専門家の意見を仰ごう。

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