相続税申告(相続が発生した方へ)

相続税申告事例 第15回-2つの道路が交わる角度が鈍角の角地の評価は?

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相続税は、相続開始時点の現預金、株式、家屋、土地といった相続財産の評価額を算定し、その総額が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を超える場合、原則、相続開始後10か月以内に、税務署に申告を行う必要があります。

相続財産の中で、一番のウェイトを占めるのが「土地」です。土地は、評価がとくに難しいために、判断が分かれることも少なくありません。そのため、土地の評価額を適正に算定できるかが、適正申告のカギとなります。

兵庫県C市在住の田中様(仮名)は、2か月前にお父様を亡くされ、自宅敷地(A土地)と建物を相続されました。「費用がかかるから」と自己申告も検討しましたが、不動産オーナーであるご友人から「相続税土地評価を得意とする事務所を知っている。君も相談してみたら」と当グループを勧められ、実際に事務所に行ってみて「相続専門税理士として信頼できる」と感じたことから、考えを変えて当グループに申告をお任せいただけることとなりました。

道路が交わる角度

今回の事例でポイントとなったのは「角地」である自宅敷地の評価です。

一般に、1つの道路にのみ面する土地を「一方路」、正面と側方、2つの道路が交わる角に面する土地を「角地」といいます。角地は、一方路に比べて出入りの便がよく居住の快適性が高いことから、評価額が上がる傾向にあります。

相続税土地評価において角地は、正面路線によって評価した価額に、側方路線の影響を加算して評価します。

ひとくちに角地といっても、正面路線と側方路線の交わる角度が鋭角のもの、鈍角のものとさまざまあり、相続税土地評価において、この角度が、何度から何度までのものが角地なのかについて、実ははっきりとした規定がありません。

この点、実務では「建ぺい率の角度緩和」の要件をもとに判断を行うことがあります。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことであり、防災上と住環境の配慮目的で定められます。

建ぺい率には緩和特例があり、「自治体の指定した角地にある建物」の場合、建ぺい率を10%割り増すことができ、より自由度の高い建物を建てることが可能です。

具体的要件は自治体によって異なりますが、「角度要件」として、「それぞれの道路の交わる角度が120度以下」を規定しているところがあり、この要件を、評価対象地に角地としての効用が認められるか、ひいては角地なのかどうかを判断する材料のひとつとすることがあるのです。

角度要件を満たさない

実際にC市役所に出向いて確認したところ、同自治体では「内角120度以下の2つの道路によってできた角敷地」が建ぺい率の角度緩和の要件のひとつとされていました。

そして、A土地について測量図面の精査および現地調査を行ったところ、甲路線と乙路線の交わる角度は約132度と計測され、A土地は角度要件を満たしておらず、特例を適用できないことがわかりました。

したがってA土地は、角度としての効用が低いことから、側方路線の影響を加算すべきでないと判断されます。

さらに、甲路線は、Ⅰ-Ⅱ間においては路線価が28.5万円/㎡、Ⅱ-Ⅲ間は26万円/㎡となっています。現地調査により、間口距離がⅠ-Ⅱ間は18m、Ⅱ-Ⅲ間は7mであることがわかっています。1つの路線に2以上の路線価が付されている場合、それぞれの路線価に接する間口距離により加重平均して1㎡あたりの価額を算出し、それに地積をかけて評価するのが原則であり、A土地はこれに該当します。

加えてこの場合、A土地は角地ではなく、Ⅰ点で屈折する一方路と考えることができ、乙路線に接する間口距離17mの部分についても、先述の加重平均の計算に算入すべきと考えられました。以上を踏まえたうえで土地の評価額を求め、現預金や株式などの評価も行って申告書を作成し、税務署に提出しました。

今回の申告作業をご自身でされた場合、甲路線を正面、乙路線を側方とする角地として評価を行い、申告してしまったかもしれません。その場合、A土地の評価額は当グループによる評価額より約1,300万円上がり、約400万円も余計に相続税を支払っていた可能性があります。

相続税申告・2つの道路が交わる角度が鈍角の角地の評価、説明

当グループでは、こうしたご相談も承っております。気になる土地をお持ちという方、ぜひ一度、お問い合わせください。

今回のポイント

正面路線と側方路線の交わる角度が鈍角の場合、建ぺい率の角度緩和等の要件を用いて、角地ではなく、一方路として評価することがある。ただし、この評価を適用できるかは評価対象地の状況によるため、まずは専門家に意見を求めること。

―この記事を書いた人―

藤宮 浩(ふじみや ひろし)(不動産鑑定士)
フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役

埼玉県出身。平成7年宅地建物取引主任者資格試験合格。平成16年不動産鑑定士試験合格および登録。平成24年ファイナンシャルプランナーCFP登録。主な著書に税理士・髙原誠との共著『日本一前向きな相続対策の本』(平成27年現代書林)、不動産鑑定士・小野寺恭孝との共著である『これだけ差が出る 相続税土地評価15事例 基礎編』(平成28年クロスメディア・マーケティング)、『現地調査・役所調査からみえてくる、相続税土地評価の減額要因』(令和元年税務経理協会)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。雑誌『家主と地主』への寄稿は70回を超える。

藤宮浩不動産鑑定士
藤宮浩
(不動産鑑定士)

髙原 誠(たかはら まこと)(税理士)
フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)副代表
フジ相続税理士法人 代表社員

東京都出身。平成17年税理士登録。平成18年税理士・吉海正一氏とともにフジ相続税理士法人を設立、同法人代表社員に就任。相続に特化した専門事務所の代表税理士として、年間約700件の相続税申告・減額・還付業務を取り扱う。不動産鑑定士の藤宮浩と共著あり(詳細は藤宮のプロフィールを参照)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。

髙原誠税理士
髙原誠
(税理士)

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