相続税申告(相続が発生した方へ)

相続税申告事例 第25回-いびつな形の土地(不整形地)の評価は?

相続税申告・いびつな形の土地(不整形地)の評価、トップページ

相続税は、相続開始時点の現預金、株式、家屋、土地といった相続財産の評価額を算定し、その総額が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を超える場合、原則、相続開始後10か月以内に、税務署に申告を行う必要があります。

相続財産の中で、一番のウェイトを占めるのが「土地」です。土地は、評価がとくに難しいために、判断が分かれることも少なくありません。そのため、土地の評価額を適正に算定できるかが、適正申告のカギとなります。

都内H市にお住いの山中様(仮名)は、2か月前にお父様を亡くされ、複数の不動産などを相続されました。自分で申告することを検討していましたが、土地評価でつまづき、雑誌記事から当グループの存在を知って申告業務をお任せいただくことになりました。

山中様はH市で兼業農家を営む一家のご長男です。ご自宅にうかがったのち、相続された土地の資料を整える中で、ご自宅の図面から減額要素となり得る事項に気がつきました。自宅敷地が道路よりやや斜めに傾いて接する形になっているのです。門をくぐった際に、敷地が道路に対して若干、斜(はす)に接していたことを思い出しました。

実はこのような土地の場合、相続税評価には特有の評価方法があります。「財産評価基本通達」にある「不整形地補正率表」に基づいて、不整形地としての減額を斟酌して価額を算出します。

ここで、少し違和感を抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。山中様の自宅敷地は道路から斜めに入る点を除けば、ほぼきれいな長方形で、「不整形地」という言葉のイメージにはそぐわない印象を受けます。しかし、「道路に対して斜めに接している土地」は、相続税評価上は立派な「不整形地」として扱われるため、不整形地補正率が適用できます。

「かげ地割合」などによって補正率が決まる

不整形地補正率の具体的な算出方法について述べたいと思います。「不整形」というのは形がいびつであるということです。いびつな土地は、長方形(正方形)の土地に比べて使い勝手が悪いので、その不整形の程度や面積等に応じ、一定の減額が認められているわけです。

問題は、それが「どの程度のいびつなのか」を数値化する必要がある点ですが、これは「想定整形地に対する、かげ地となる部分の割合(かげ地割合)」を求めることで得られます。「想定整形地」とは、評価対象地の全域を囲む、正面路線に面する長方形または正方形の土地のことです。

つまり、土地が道路に対して斜めに傾いて接していれば、土地そのものはほぼきれいな長方形であるにもかかわらず、かげ地が発生するのです。この「かげ地割合」と、地積区分および地区区分を「不整形地補正率表」にあてはめ、補正率を求めます。

最大で40%もの減額補正が可能

不整形地補正は最大で40%もの評価減が受けられる制度ですから、これは減額要素としては見落としてはならない重要なポイントです。

これは余談ですが、多少、道路に対して斜めに接しているだけでこれほどの減額補正が受けられるのは、相続税評価の特徴といえます。不動産鑑定評価や不動産屋さんの査定等の場合は、このような土地に対して、これほどまでに大幅な減額補正をすることはまずありません。減価を入れたとしても、マイナス3~5%程度ではないでしょうか。その理由は、やはり土地の使い勝手にさほどの影響は及ばないからです。

相続税評価にあたっては、不整形地補正は「財産評価基本通達」にはっきりと規定されているため、しかるべき減価をしなければなりません。私たちは、不整形地補正の減価を含めた土地の評価を行い、これとともに現預金や株式などの評価も行って申告書を提出し、税務署に提出しました。

今回の申告作業をご自身でされた場合、不整形地補正を考慮せずに評価を行っていたかもしれません。その場合、この土地の補正率が0.88であったため、評価額は当グループによる評価額より約600万円上がり、約180万円も余計に相続税を支払っていた可能性があります。

相続税申告・いびつな形の土地(不整形地)の評価、説明

このように、当グループでは相続専門税理士と相続に強い不動産鑑定士との協働により、適正申告を実現することが可能です。

今回のポイント

正面道路に対して斜めに接する敷地は、概ね整った長方形の土地であっても、「かげ地」が想定されることで、不整形地としての減額補正が受けられる場合がある。

―この記事を書いた人―

藤宮 浩(ふじみや ひろし)(不動産鑑定士) フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)代表 株式会社フジ総合鑑定 代表取締役

埼玉県出身。平成7年宅地建物取引主任者資格試験合格。平成16年不動産鑑定士試験合格および登録。平成24年ファイナンシャルプランナーCFP登録。主な著書に税理士・髙原誠との共著『日本一前向きな相続対策の本』(平成27年現代書林)、不動産鑑定士・小野寺恭孝との共著である『これだけ差が出る 相続税土地評価15事例 基礎編』(平成28年クロスメディア・マーケティング)、『現地調査・役所調査からみえてくる、相続税土地評価の減額要因』(令和元年税務経理協会)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。雑誌『家主と地主』への寄稿は70回を超える。

藤宮浩不動産鑑定士
藤宮浩
(不動産鑑定士)

髙原 誠(たかはら まこと)(税理士) フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)副代表 フジ相続税理士法人 代表社員

東京都出身。平成17年税理士登録。平成18年税理士・吉海正一氏とともにフジ相続税理士法人を設立、同法人代表社員に就任。相続に特化した専門事務所の代表税理士として、年間約700件の相続税申告・減額・還付業務を取り扱う。不動産鑑定士の藤宮浩と共著あり(詳細は藤宮のプロフィールを参照)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。

髙原誠税理士
髙原誠
(税理士)

第24回-土壌汚染がある土地の評価は?← →第26回-市街化区域内にある農地の評価は?

詳しくは、お電話またはお問い合わせフォームからお問い合わせください。
お問い合わせフォーム