相続税申告(相続が発生した方へ)

相続税申告事例 第35回-上空や地下に第三者の権利が付着した土地の評価は?(区分地上権)

上空や地下に第三者の権利が付着した土地の評価、トップページ

相続税は、相続開始時点の現預金、株式、家屋、土地といった相続財産の評価額を算定し、その総額が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を超える場合、原則、相続開始後10か月以内に、税務署に申告を行う必要があります。

相続財産の中で、一番のウェイトを占めるのが「土地」です。土地は、評価がとくに難しいために、判断が分かれることも少なくありません。そのため、土地の評価額を適正に算定できるかが、適正申告のカギとなります。

都内T区在住の真田様(仮名)は、3か月前にお父様を亡くされ、450㎡の自宅敷地を相続されました。相続税の申告をお願いできる税理士を探していたところ、不動産オーナー向けのフェアでブース出展していた当グループを知り、申告業務をお任せいただけることになりました。

真田様のご自宅で話を伺い、T区役所で図面などの資料をそろえ申告書の作成に取りかかりました。真田様が相続された土地は、A土地・B土地の二筆からなり、自宅敷地として一体利用されています(図参照)。この土地を評価するうえで、住宅地図からある気になる点を見つけました。

地下に第三者の権利が!

住宅地図にはA土地・B土地付近の地下を走る鉄道の存在が明記されていました。さらに、登記簿を確認すると、A土地に、地下に鉄道が通っていることによる「区分地上権」が設定されていることがわかりました。

区分地上権とは、土地の上空や地下部分に対する第三者の権利を指します。地下に第三者の権利が付着していると土地の利用が制限されることから、評価額より一定割合を減額することができます。

今回のケースでは、自宅敷地として利用されている全体(A土地+B土地)の評価額から、区分地上権の評価額(A土地を完全所有権とした場合の価額の30%)を控除して計算することができます。私たちは、A土地について区分地上権が設定されている土地の評価を行い、これとともに現預金や株式などの評価も行って申告書を作成し、税務署に提出しました。

今回の申告作業をご自身でされた場合、A土地に設定されていた区分地上権を考慮しないまま評価を行っていたかもしれません。その場合、評価額は当グループによる評価額より約1,080万円上がり、約320万円も余計に相続税を支払っていた可能性があります。

上空や地下に第三者の権利が付着した土地の評価、数式

今回のケースのように、土地の価額は、要素をひとつ見落としただけで1,000万円以上もの評価差が生まれることが珍しくありません。当グループでは相続専門税理士と相続に強い不動産鑑定士との協働により、適正申告を実現することが可能です。相続税土地評価についてご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

今回のポイント

土地の上空や地下部分に設定される第三者の権利を「区分地上権」という。地下鉄のトンネルを通すことなどを理由として、宅地に「区分地上権」が設定されている場合、更地として評価した価額から、区分地上権の評価額(更地価額の30%)を控除することができる。

なお、区分地上権が宅地の一部に設定されているときは、宅地の更地価額のうち、その区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となる。

―この記事を書いた人―

藤宮 浩(ふじみや ひろし)(不動産鑑定士) フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)代表 株式会社フジ総合鑑定 代表取締役

埼玉県出身。平成7年宅地建物取引主任者資格試験合格。平成16年不動産鑑定士試験合格および登録。平成24年ファイナンシャルプランナーCFP登録。主な著書に税理士・髙原誠との共著『日本一前向きな相続対策の本』(平成27年現代書林)、不動産鑑定士・小野寺恭孝との共著である『これだけ差が出る 相続税土地評価15事例 基礎編』(平成28年クロスメディア・マーケティング)、『現地調査・役所調査からみえてくる、相続税土地評価の減額要因』(令和元年税務経理協会)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。雑誌『家主と地主』への寄稿は70回を超える。

藤宮浩不動産鑑定士
藤宮浩
(不動産鑑定士)

髙原 誠(たかはら まこと)(税理士) フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)副代表 フジ相続税理士法人 代表社員

東京都出身。平成17年税理士登録。平成18年税理士・吉海正一氏とともにフジ相続税理士法人を設立、同法人代表社員に就任。相続に特化した専門事務所の代表税理士として、年間約700件の相続税申告・減額・還付業務を取り扱う。不動産鑑定士の藤宮浩と共著あり(詳細は藤宮のプロフィールを参照)。セミナー講演、各種媒体への出演、寄稿多数。

髙原誠税理士
髙原誠
(税理士)

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