特異な相続不動産にこそ本領発揮
減価要因が強い土地 時価の算定が困難
相続税では、相続財産の価額はその財産の取得時の時価によるとされています。しかし実際には適正な時価を把握することは難しく、また課税の公平を期すために、国税庁より財産評価の統一的な基準として「財産評価基本通達」が定められており、この通達により得られた価額を時価とするとされています。
しかし、「間口が2m未満の土地」「無道路地」「全体が傾斜している土地」「道路面からの高低差が著しい土地」「極端な不整形地」「私道」など、個別的な減価要因が強い土地の場合、通達による画一的な評価ではこれらの要因を反映しきれず、結果的に、実勢価格に比べて評価額が跳ね上がってしまうことが起こります。
このようなときに、不動産鑑定士による鑑定評価を用いることが合理的とされる場合があります。
評価を行えるのは不動産鑑定士のみ
不動産の鑑定評価とは、対象不動産の経済価値を判定し、貨幣額をもって表示することをいいます。
不動産の経済価値は、単なる「相場水準」だけでなく、経済情勢や所在する地域の開発動向、建築制限など公法上の制限のほか、形状や面積など多数の要因が組み合わさって形成されています。これらの要素を考慮して分析を行い、適正な価額を導き出すことが不動産の
鑑定評価であり、これができるのは、法律で不動産鑑定士のみとされています。
「実際にはこんな値段では売れないのに相続税の評価額がとても高い」「譲渡所得の算定の基となる適正な評価額を出したい」など、お困りの人は、まず一度、不動産鑑定士に相談してください。
『家主と地主』2022年3月号掲載
この記事を書いた人
不動産鑑定士
藤宮 浩(ふじみや・ひろし)
フジ総合グループ 代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役
フジ総合グループの代表を務め、年間950件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行うほか、各種媒体への出演、寄稿多数。