地主様・不動産オーナー様のための 円満相続コラム

フジ総合グループの代表者5名による
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評価単位の3原則と測量の重要性

平成30年に広大地評価の規定が廃止されて早3年になります。そんな中でよく耳にするのが「広大地評価がなくなったから相続税評価ってもう下がらないでしょう?」ということです。確かに改正前の広大地評価は減額幅も大きく、適用するか否かの判断は評価者の判断による部分もありました。対して、広大地評価に代わって登場した「地積規模の大きな宅地の評価」では、適用条件が明確化されているため適用可否の判定がしやすく、評価者の判断による要素はほぼありません。

ここで皆様に考えていただきたいのは、お持ちの不動産について相続税対策や先々の活用を考えるうえで「減額幅の大きい広大地評価(現在は『地積規模の大きな宅地の評価』)を適用することだけが、はたして有効なものなのか?」ということです。
今回は、広大な土地のような分かりやすい減額要素の有無に関わらず、判断次第で土地評価を下げる(場合によっては上げる)ことができ、将来の土地活用にも役立つであろう土地評価のノウハウについて詳しく取り上げてみたいと思います。

コロナ禍で不足する住宅用地相続への影響は?

昨今、不動産業界からは「住宅用地が足りない」という声が聞かれます。コロナ禍の影響により戸建ての需要が高まったことで、売れる土地・売れない(=流通性のない)土地の明暗が分かれ、需要のある土地は売り手市場になっているということです。土地活用を考えるにあたっては、このように社会の風向きやトレンドに配慮して、その時代にマッチした計画を立てることが重要です。

お持ちの不動産について、事前に皆様に知っておいていただきたいのは、用途地域(住居系・商業系・工業系と大きく3タイプに分けられます)、前面道路の状況(幅員や方位)、地積、地目、最低敷地面積についての情報です。用途地域・前面道路の状況からはその土地に建てられる建物の種類やボリュームがわかり、地積・最低敷地面積の数値からは、その土地を何区画の敷地に分けられるのかということが見えてきます。
相続税土地評価では、前述の情報をもとに評価単位の3原則、「地目別の評価」「利用単位別の評価」「取得者別の評価」を掛け合わせることで適正な相続税額を導き出し、大きな節税効果を生むことが可能になります。

地目別の評価

評価単位の3原則、一つ目は地目別の評価という考え方です。「地目」とは不動産登記法により土地の用途ごとに23種類に定められた区分のことをいいます。相続税においてはこの地目の異なるごとに評価単位が形成されます。登記されている地目ではなく、現況の地目(実際の使用状況)に基づいて評価が行われるため、この限りにおいては無理に登記地目を変更する必要はないように思われますが、一つの筆の中に複数の地目が混在している場合には、地目ごとに遺産分割できないなどの事態が想定されます。

また、建物の建築に際して借入をしようという場合には、登記地目が宅地に変更されていないと抵当権の設定ができないなど、不動産活用の場面でも不具合が発生します。普段の使用においては支障がない要素なだけに、「実際は宅地として使用しているのに登記はまだ山林のままだ」などとやり過ごしてしまう方も中にはいるかもしれませんが、いざというときのために固定資産税課税明細書などをよく見て地目の混在を把握しておくことが大切です。

土地の地目の判定

Q.土地の地目はどのような基準で判定するのでしょうか。

A.土地の地目は全て課税時期の現況によって判定することとし、地目の区分は不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて判定します。なお、同準則に定める地目の定め方の概要は次のとおりです。

 

(1)宅地 建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地
(2)田 農耕地で用水を利用して耕作する土地
(3)畑 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
(4)山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
(5)原野 耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
(6)牧場 家畜を放牧する土地
(7)池沼 かんがい用水でない水の貯留池
(8)鉱泉地 鉱泉(温泉を含む)の湧出口及びその維持に必要な土地
(9)雑種地 以上のいずれにも該当しない土地

注:駐車場(宅地に該当するものを除きます)、ゴルフ場、遊園地、運動場、鉄軌道等の用地は雑種地となります。

出典:国税庁HP

利用単位別の評価

「利用単位別の評価」とは、評価対象の土地の利用ごとに評価単位を分ける考え方です。例えば、同じ敷地内にある宅地であっても、自宅の建つ敷地は「自宅敷地」、アパートの建つ敷地は「アパート敷地」として分けて評価するというものです。

具体的に例を挙げると、「自宅敷地」は自宅建物・自宅駐車場、家庭菜園などを一体として評価し、「アパート敷地」はアパート建物・アパート住民用駐車場(駐輪場)・専用ゴミ置き場などを一体として評価するということです。このように利用単位を明確にすることは土地活用の場面で売却範囲を決定する(=売却金額を左右する)ことにもつながります。

取得者別の評価

最後は「取得者別の評価」という考え方です。これは、地目及び土地の利用が同一であったとしても、遺産分割によって複数人が取得した土地は別々に評価単位を形成するというものです。一つの筆の中に複数の建物の敷地が存在している場合に発生する可能性が高いものになります。相続発生後、取得者が分かれることが見込まれる土地については、分割トラブルの回避にもつながります。

キーワードは測量!

以上、評価単位の3原則をご説明させていただきましたが、いずれの場合でも評価単位を明確にするという点で「測量」を入れることが非常に有効といえます。測量には、現況の面積や地形などを測定する「現況測量」と、隣地所有者の立会いの上で土地の境界を確定させる「境界確定測量」がありますが、相続税土地評価においては、比較的費用と時間が抑えられる「現況測量」で十分大きな効果を得ることができます。
また、土地評価において測量は次のような効果も期待できます。

①縄伸び・縄縮みの発見(縄伸びが相続税を下げることも)
②分筆でセットバック部分を明確化
③がけ地・市街地山林における傾斜度測定など

さらに、土地評価以外でも測量が効果を発揮する場面があります。

Ⓐ不動産の売却が行いやすくなる(流動性が高まる)ため資産価値のアップにつながる
Ⓑ相続前に測量を依頼することでその費用を相続財産から控除しておくことができる

まとめ

前述のノウハウを駆使することで評価単位が明確になり、相続税土地評価の基盤をきっちりと整理することができます。場合によっては広大地評価に勝るとも劣らない大きな効果をもたらす可能性もあります。
まずは所有不動産の現状を知り、流行を知り、前述の評価単位の原則も踏まえた上で将来像を考える。これが土地持ちの方の相続における重要なポイントといえるのではないでしょうか。