江戸時代は、今と異なり、税は「米」で納めることとされていました。
明治になると、所有する土地の地価の3%を「現金」で納める形に改められます(地租改正)。
「縄伸び」している土地登記簿が信頼できないワケ
税金の算定基礎となる地価は、土地の大きさによって変わり、土地の測量は個人で行って申告する形が採られました。
当時の測量技術は未熟で、かつ税金を低く抑えるために実際よりも地積を少なく見積もって申告する例が続出し、その情報が今日の登記情報に引き継がれたため、登記簿上の地積と実際の地積が異なる事態が生じたと言われています。
地積規模の大きな宅地の 評価を適用できることも
「地積規模の大きな宅地の評価」とは、広い土地に対して適用できる評価方法で、平成30年1月1日以降に発生した相続について適用されます(平成29年12月31日以前の相続については「広大地評価」が適用される)。
東京・大阪・名古屋の三大都市圏においては500㎡以上、三大都市圏以外の地域においては1000㎡以上の面積の宅地が原則、対象です。いわゆる「縄伸び」している土地では、今回の例のように、たとえば登記簿上では480㎡でも、測量してみると520㎡ということがあります。
この場合は測量成果を採用し、「地積規模の大きな宅地の評価」を適用できる場合があります。土地の評価を行う際には「縄伸び」の可能性も考慮し、現況測量を行うなどして、正確な地積の把握に努めましょう。
『家主と地主』2021年1月号掲載
この記事を書いた人
不動産鑑定士
藤宮 浩(ふじみや・ひろし)
フジ総合グループ 代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役
フジ総合グループの代表を務め、年間950件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行い、ビックサイトで行われる賃貸住宅フェアでは、毎年100名以上の動員を誇る。