地主様・不動産オーナー様のための 円満相続コラム

フジ総合グループの代表者5名による
コラムページです。
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保存版!相続対策に役立つスケジュール

爽風をお読みの皆様、こんにちは。フジ相続税理士法人の髙原誠です。
今回は相続対策を考える上で見過ごすことのできないメインイベントを年間スケジュールにまとめました。
税理士をはじめとする専門家との関わりについても解説します。

夏から本格スタート!税制改正のプロセス


毎年概ね8月末から秋頃までに業界団体や各省庁、税理士会などから次年度の税制改正に関する要望が集められ、財務省(国税)と総務省(地方税)に提出されます。それを元に議論が行われ、関係者間で取りまとめられたものが12月中旬から下旬頃に税制改正大綱として発表されます。

発表後は各種媒体で特集が組まれるなど世間一般に広く知れ渡ります。またこの頃には、専門家向けの税制改正セミナーが数多く開催され、盛り上がりを見せます。

その後、税制改正大綱を元にした税制改正法案が国会で審議され、3月末までに法案成立、4月1日に法律の規定に従って税制改正が施行されます。

この時期も税制改正セミナーが行われやすいタイミングです。この頃には知識の深まった専門家が講師となり一般の方向けにプラスαの内容を提供します。最近ではユーチューブなどを中心とした動画の配信も増えています。対面と配信、それぞれ良し悪しがあると思いますが、いずれも情報量として煮詰まっていると感じるのは税制改正が成立する3月末頃のイメージです。

研究熱心な方はどこの世界にもいるもので税法の世界も例外ではありません。改正項目について報道やセミナーなどで広く周知はされますが、それはいわゆる一般論。

前提として改正の影響を受けそうなお客様には都度その内容をお伝えするようにしていますが、「我が家の場合は?」と積極的に解説を求めるお客様も毎年一定数いらっしゃいます。

税制改正や、相続・不動産経営等に影響を及ぼす各種法改正に興味を持ち自主的に情報収集をされている方は結果として残せる財産も多くなる傾向にあります。

これは、「スムーズな相続・不動産経営のために一家に一人、専門家を!」という私の持論にも繋がってきますが、これはまた別の機会にお話しします。

毎年の固定資産税をチェック今年からはその一歩先へ

さて、話を本筋に戻します。

税制改正法案が成立したあとは、3月下旬に公示価格、4月初旬には固定資産税路線価が発表されます。

固定資産税路線価は3年に一度評価替えが行われるもので、次回は令和6年に予定されています。賃貸収入に直接影響がある費目のため、私どものお客様でも毎年欠かさずチェックされている方が多い印象です。

同時期に固定資産税評価額の縦覧期間があります。市区町村の担当窓口で公開される縦覧帳簿により、すべての土地と建物の評価額を確認できるというもので、評価額の上がり下がり、その評価プロセスが適正かどうかを確認できるだけでなく、同一市区内の不動産価格と自身の不動産価格を比較することができます。所有する土地・建物について納得いくまで調べてみると土地活用の参考にもなります。

7月の路線価発表「後」に相続税の試算を始めると…?

さらに時期を進めます。7月1日には相続税路線価が発表されます。

通常であれば毎年このタイミングで相続税の試算を行い、各種の対策を検討するのがセオリーでしょう。

ここで一呼吸置いて考えてみてください。財産の内訳が現金5億円の方と不動産5億円の方、相続税試算は明らかに後者の方が時間を要します。試算の完了に1ヶ月かかるとすると、結果を知るのが8月。税制改正によって個人の税制が切り替わる12月末まで、この時点で残り5ヶ月。試算完了が9月であれば残り4ヶ月。10月であれば……。

ですが7月の路線価発表直後に試算が完了していればどうでしょう。各種対策の検討・実行の期間として6ヶ月近くの猶予が得られます。リスクを伴う大きな対策を検討している方ほど税制切り替えの時期にこだわらないのも事実ですが、一般的に時間がもたらすメリットは少なくないと思います。

何はともあれ、相続が発生するその時まで税務署から請求される金額・内容を把握していないのは危険極まりないことです。過去に一度試算をしたから、と満足せず、常に最新の試算・対策にブラッシュアップしていくのがベストです。専門家の立場としては、よりプロフェッショナルな視点で状況を俯瞰し、公示価格発表や相続税申告作業のタイミングで適切な提案を持ちかけるよう心がけています。

「思い立ったが吉日」「待てば海路の日和あり」その均衡が大事

「少しでも早く相続税の試算を」というのが前項の内容ですが、そう簡単に物事が進まないのも相続の特徴です。一般に、親御さん・お子さん双方がタブー視して触れたがらない分野です。

「触れたがらない」ということに関して私は一貫して「相続対策=介護対策」というキーワードをお伝えしています。「相続対策をしたい(させたい)なら相続を語らずに介護こそ語りなさい、そうすると人生の時間軸に従っておのずと相続が見えてくる」という説です。

相続対策には「遺産分割対策」「納税資金対策」「節税対策」の3つの柱がありますが、私が考える4つ目の柱が「介護(認知症)対策」です。

相続で起こる遺産争いなどのトラブルは多くが介護・認知症に端を発します。切り出しにくい話題ではありますが、「介護が必要になったとき

どうするのか」「認知症になってしまったときに財産管理をどうするのか」という課題を含め、家族それぞれの将来設計や事情を共有しておくことが大切です。

とは言っても、親御さんやお子さんが聞く耳を持たなければ介護の話も意味を成さないかもしれません。親御さん・お子さん・お孫さんが互いに個別の事情に配慮して、今が話

を切り出すタイミングなのか、その時期ではないのかを慎重に見極めることが円満な相続対策の第一歩です。

3つの「きく」で家族の想いをひとつに

相続対策の実行にはご家族の協力が必要ですが、それに加え、頼れるパートナー(専門家)の存在が欠かせません。

「聞く・聴く・訊く」の姿勢を持って、ご家族の心の底にある本音まで理解してくれる人なのか、数世代先まで安心して任せられる存在なのかをじっくりと見極めていただきたいと思います。

相続税路線価が発表されたこの時期に改めて考え直してみてはいかがでしょう?

この記事を書いた人

税理士
髙原 誠(たかはら・まこと)

フジ相続税理士法人 代表社員

東京都出身。平成17年 税理士登録、平成18年 フジ相続税理士法人設立。
相続に特化した専門事務所の代表税理士として、不動産評価部門の株式会社フジ総合鑑定とともに、年間950件以上の相続税申告・減額・還付案件に携わる。
不動産・保険等への造詣を生かした相続実務に定評があり、プレジデントや週刊女性など各種媒体への寄稿・取材協力も多数行う。
平成26年1月に藤宮浩(株式会社フジ総合鑑定 代表)との共著となる初の単行本『あなたの相続税は戻ってきます』(現代書林)を出版。
平成27年7月に第2弾となる『日本一前向きな相続対策の本』(現代書林)を出版。
平成30年4月に第3弾となる「相続税を納め過ぎないための土地評価の本」(現代書林)を出版。

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