宅地は、その宅地の上にどの程度の規模の建築物が建てられるかによって、その価値が変わります。
「敷地面積に対する建物の延床面積(建築物の各階の床面積の合計)の割合」のことを容積率といいますが、この容積率の大小が、土地価格に影響を与えるのです。
容積率は、都市計画法が定める用途地域ごとに上限があり、原則、その用途地域で定められた容積率を超える建物を、その用途地域内にある土地に建てることはできません。
たとえば、容積率が200%の地域で、土地の面積が150㎡なら、延床面積が300㎡を超える建物は基本的にNGです。
容積率の異なる 地域にまたがる土地
容積率の高い土地は、そうでない土地に比べて収益性が高まり、かつ自由度のある建築が可能なことから、通常、土地の評価額計算の基礎となる路線価にも、その影響が考慮されます。
しかし、容積率は地域によって異なるために、土地が容積率の異なる2以上の地域にまたがることがあります。
これを「容積率またがり」といい、この場合、実際に使ってよい容積率は、またがっている割合に応じて按分計算する定めとなっています。
相続税でこのような土地を評価する場合、こうした土地の正面路線価は、基本的に正面付近の高い容積率しか考慮されていないため、容積率が低い奥部分の面積に応じて一定の減価を行います。
「容積率またがり」は、幹線道路沿いのマンションなどによく見られることから、そうした立地の不動産を保有している場合には、特に注意が必要です。
『家主と地主』2021年4月号掲載
この記事を書いた人
不動産鑑定士
藤宮 浩(ふじみや・ひろし)
フジ総合グループ 代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役
フジ総合グループの代表を務め、年間950件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行い、ビックサイトで行われる賃貸住宅フェアでは、毎年100名以上の動員を誇る。