建築基準法が定める「道路」とは、原則として道幅が4m以上のものをいい、これ以外の道路に接する土地には、基本的に、建物を建てることができません。しかし、現実には、道幅が4m未満の道もたくさんあるため、次の3つの条件を満たす場合は、「建築基準法上の道路とみなす」措置が取られます。
①道幅が4m未満であること
②建築基準法が適用されたときに、すでに建築物が建ち並んでいたこと
③自治体の指定を受けていること
このような道路は、建築基準法の条文の番号をとって「四十二条二項道路」(以下、二項道路)と呼ばれます。
利用の制限を考慮して 相続税評価額を下げる
二項道路に面する宅地は、「その道路の中心線から水平距離2m」もしくは「その道路の片側が、がけ地、川、線路等の場合は、そのがけ地等の道路境界線から水平距離4m」後退した線を道路との境界線としなければなりません。
これを「セットバック」といいます。セットバックすべき部分には、新たに建物や、門、塀といった構築物を建てることができず、将来、建物を建て替えるときには、道路として提供しなければなりません。
セットバックが必要な土地は、土地利用に制限が生じることから、相続税土地評価では、セットバックすべき部分について、そのセットバックがないものとして評価した価額から、70%相当額を控除して評価します。路線価の高い地域は、セットバックすべき部分の評価を適切に行うことで評価額が下がる場合があるので、注意が必要です。
『家主と地主』2021年5月号掲載
この記事を書いた人
不動産鑑定士
藤宮 浩(ふじみや・ひろし)
フジ総合グループ 代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役
フジ総合グループの代表を務め、年間950件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行い、ビックサイトで行われる賃貸住宅フェアでは、毎年100名以上の動員を誇る。