地主様・不動産オーナー様のための 円満相続コラム

フジ総合グループの代表者5名による
コラムページです。
相続・不動産に関する最新情報や
各事務所のホットな話題をお届けします。

2022年税制改正解説

爽風をお読みの皆様、こんにちは。フジ相続税理士法人の髙原誠です。
岸田政権下で初となる今年の税制改正大綱は、
「成長と分配の好循環の実現」「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」等を柱に取りまとめられました。
全般的なキーワードとなっているのは「環境への配慮」です。
読者の皆様に関係が深そうな項目を中心にご紹介します。

住宅ローン控除制度の見直し

控除が適用される年間借入限度額は一般の住宅では3000 万円まで、
認定住宅(認定長期優良住宅・認定炭素住宅)では5000 万円までとピーク時の約半分に減りましたが、
今後も住宅購入の助けになることは間違いないでしょう。

住宅取得等資金贈与の非課税制度の延長・拡大

民法改正の影響で、受贈者の年齢が18歳以上に引き下げられました。
その適用条件から、教育資金贈与と比較して非課税が成立するまでの期間が短いのが特長です。
今後、祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた孫が所有する自宅に親が同居する、という相続税対策の形も生まれてくるかもしれません。

財産債務調書制度の見直し

一定以上の資産を持つ人に財産と債務内容の届け出を求める財産債務調書制度では、
令和5年分から所得税の申告義務がなくても10億円以上の財産を保有していれば財産債務調書の提出義務者となるため、注意が必要です。

相続税・贈与税一体化、着々と

昨年後半、一部メディアでは、
「もうすぐ相続税と贈与税が一体化される」「暦年課税制度がなくなる」などと論じられるようになりました。

相続対策を検討されている方の中には、「暦年贈与はもうできなくなるかもしれない」と考えていた方も多いと思います。
しかしこの件に関して今年の与党の税制改正大綱では、昨年度と同様に「本格的な検討を進める」といった文章にとどまり、
改正には至りませんでした。

論点として挙げられていたのは、
①高齢者に財産が偏在し相続による財産移転も高齢期にシフトしている 
②若年世代に財産が移転すれば消費を通じて経済活性化が期待できる 
③ただし高齢者の財産が何らの負担もなく若年世代に引き継がれると格差の固定化につながりかねない
④資産の再分配機能を確保しつつ早期移転を促したい
⑤相続財産が少ない層は生前贈与に消極的な状況(相続税よりも贈与税の方が税率が高いため)

であり、相続財産が多い層は生前贈与に対してより積極的であるため、分割贈与を通じて相続税の負
担回避が可能な状況になっているというものです。
このように大きな論点が複数あることで、相続税と贈与税の一体化については今後も検討が進められ、
近々何らかの改正がある可能性が高いと思われます。

「生前贈与は漢方薬」長い目で見て検討を

私はよくお客様に「生前贈与は相続税対策の漢方薬」とお伝えしています。
110 万円の非課税枠は相続税対策という観点では枠が小さいため、効果の発揮には時間がかかりますが、
投薬を繰り返すことで大きな効果が期待できます。
即効薬と漢方薬、双方の良し悪しを織り交ぜ、「何もしない」も選択肢に入れつつ検討していただきたいものです。

今回ご紹介したように税制は年に一度、法令に変更が加えられ、日々新しい判例や通達も出るため、相続対策に「絶対の正解」はありません。本格的な対策を行う予定の方、またすでに行っている方は、毎年対策の方向性のチェックが必要です。

ご自身でのチェックが難しい場合は是非当グループにご相談ください。

この記事を書いた人

税理士
髙原 誠(たかはら・まこと)

フジ相続税理士法人 代表社員

東京都出身。平成17年 税理士登録、平成18年 フジ相続税理士法人設立。
相続に特化した専門事務所の代表税理士として、不動産評価部門の株式会社フジ総合鑑定とともに、年間950件以上の相続税申告・減額・還付案件に携わる。
不動産・保険等への造詣を生かした相続実務に定評があり、プレジデントや週刊女性など各種媒体への寄稿・取材協力も多数行う。
平成26年1月に藤宮浩(株式会社フジ総合鑑定 代表)との共著となる初の単行本『あなたの相続税は戻ってきます』(現代書林)を出版。
平成27年7月に第2弾となる『日本一前向きな相続対策の本』(現代書林)を出版。
平成30年4月に第3弾となる「相続税を納め過ぎないための土地評価の本」(現代書林)を出版。