利用者に寄って評価額が異なる
通り抜け私道では相続税非課税に
行き止まり私道だと宅地評価額の30%
人々の通行のために利用される、個人または団体が所有する土地は「私道」と呼ばれ、①「通り抜け私道」のように不特定多数の人が通行する公共性の高いものと、②「行き止まり私道」のように特定の人が通行するものとに二分されます。
私道は私有地ではあるものの、人々の通行に使われ、自由な処分が困難なことから、①の場合、その私道は評価対象外となり、非課税となります。また②の場合は、私道でない宅地として評価した価額の30%相当額で評価します。また、所有者だけが専用利用している路地状敷地については私道に含めず、隣接する宅地と一体のものとして評価します。
②の場合の私道の評価は、それが接する道路に付けられた路線価、またはその私道そのものに設定された「特定路線価」により行います。
特定路線価とは、路線価の設定されていない道路のみに接する土地を評価する場合に、納税義務者からの申請等に基づき、その道路に設定されるものをいいます。原則として、行き止まり私道には路線価が付いていないことから、これを設定するケースがよく見られます。
固定資産税はゼロ円 相続での財産計上に注意
なお、私道は、固定資産税評価では非課税となっていることが多く、財産として把握されていないにもかかわらず、相続税では財産として計上され、思わぬ納税の負担が生じる場合があります。しかし、前述のように、私道は、評価額がゼロになったり、評価額を落としたりできる場合もあるので、あきらめずに検討することが重要です。
『家主と地主』2022年2月号掲載
この記事を書いた人
不動産鑑定士
藤宮 浩(ふじみや・ひろし)
フジ総合グループ 代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役
フジ総合グループの代表を務め、年間950件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行うほか、各種媒体への出演、寄稿多数。