
税務調査が来る。税理士ならば「ここが腕の見せどころ!」と思う場面ですが(繁忙期には「えっ!来るの~!?」と思う税理士もいるかもしれませんが…)、納税者の方にとっては、税務調査は不安のタネでしかありません。
税務調査って一体何をするの? と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は税務調査の流れについて、私の経験もふまえて紹介したいと思います。
税務調査は、平成25年に施行された国税通則法の改正により、その手続き等が法定化されました。このことにより、それまで慣習的に行われてきた調査の「開始時の手続き」と「終了時の手続き」が明確になりました。
税務調査の「開始時」と「終了時」
税務調査を行うことが決まると、いわゆるマルサや一部の例外を除いて、事前に税務署より通知がきます。事前通知の方法は、ほぼ間違いなく電話です。
このとき、税務当局は納税者側に対し「調査を行う旨」「調査の開始日時」「調査を行う場所」「調査の対象となる税目」などの11項目を通知しなければなりません。
税理士が付いている(=税務代理権限証書が提出されていて、事前通知を税理士に行うことへの同意が取れている)場合は、税理士に通知されますが、現状ではこの11項目の事前通知が十分に行われているという意見は残念ながら聞いたことがなく、実のところ私自身、11項目すべてをしっかり通知してもらった経験は皆無です。
ちなみに、任意調査の段階では、日程変更の要請も可能です。ただし「任意」とはいえ、正当な理由なく拒否することはできません(仮に拒否したとしても、納税者にとってよいことは何も待っていません)。余談ですが、税務調査官の経験も実力も得意分野も様々ですので、税理士としては「調査担当者の氏名と所属」も気になります。
次に調査終了時です。問題のない(是正の必要がない)場合、以前は電話で通知されるだけのことが多かったのですが、国税通則法の改正により、書面でも通知が出されるようになりました。是正の必要がある場合は、税務署に呼ばれることが多いですが、電話で指摘がある場合もあるようです。調査結果をもとに是正すべき金額や理由について説明した上で、修正申告をすることを勧められます。
今回はここまで。次回は調査当日の流れについて書きたいと思います。
この記事を書いた人

税理士
髙原 誠(たかはら・まこと)
フジ相続税理士法人 代表社員
フジ総合グループの副代表を務め、不動産に強い相続専門事務所の代表税理士として、相続税申告・減額・還付案件に携わる。
多くの経験とノウハウを活かした相続実務に定評があり、プレジデントや週刊女性など各種媒体への寄稿・取材協力も多数行う。