
相続税の申告と納付が終わると安心する方は多いでしょう。
しかし、内容に誤り・不備がある申告書や、税理士の署名がない申告書を提出すると、税務署や国税局による税務調査が行われる可能性があります。
国税庁の令和6事務年度の税務調査の統計によると、実地調査を受けた方の82.3%が申告漏れを指摘されており、相続税の税務調査は決して他人事ではありません。
相続税を正しく申告しているつもりでも税務調査を受ける可能性はゼロではないため、あらかじめ税務調査の方法や流れを把握しておくことが大切です。
本記事では、相続税における税務調査の概要や実施目的、実施時期などを解説します。
あわせて、税務調査が入りやすいケースや税務調査を避ける対策も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
相続税の税務調査とは
相続税の税務調査とは、相続税の申告内容が正しいかどうかを税務署または国税局の調査官が確認する手続です。
ここでは、調査の目的・対象者・時期・方法の基本を押さえましょう。
税務調査の目的
相続税の税務調査は、相続税の申告が正しく行われているかを詳しく確認する調査です。
税務調査を実施するのは、税務署または、国税局の調査官です。
税務調査は相続税に関わる調査であるため、被相続人が生前生活していた自宅を中心に、相続財産の詳細を現地で直接確認します。
また、税務調査は主に相続人の申告漏れを調べる目的で行われるものです。
税務署は相続税をきちんと納めているかを調べるだけであり、「納めすぎ」を調査してくれるわけではない点に注意しましょう。
相続税の申告は誤りや不備、無申告などが発覚すると追徴課税を課される場合があります。
たとえ相続税の申告を行っていたとしても税務署が確認した際に疑念をもたれてしまうと税務調査が入ることがあるため、相続税を申告する際には細心の注意が必要です。
税務調査の対象者
税務調査が実施される場合、調査の対象になるのは相続人です。
被相続人の相続財産を受け取ったすべての相続人は税務調査の対象となります。
意図的な申告漏れや無申告などの悪質なケースでない限りは、税務署から相続人の代表者へ税務調査を実施する旨の連絡が入ります。
税務調査の当日までに必要な資料や書類を準備しておくとよいでしょう。
税務調査当日は相続人の立ち会いのもと実施されるため、特別な理由がない限り、すべての相続人が調査場所に集まることが原則として求められます。
相続人の代表者は他の相続人へ早めに連絡を取り、調査が滞りなく進むよう調整することが大切です。
税務調査が行われる時期
税務調査は、相続税の申告から1~2年後の8月~11月に行われる傾向があります。
これは、7月に税務署の人事異動が行われ、新体制となってから本格的に調査が開始されるという行政側のスケジュールが影響しています。
逆に1~3月は確定申告で多忙であり、4~6月は評価後の端境期となるため実地調査の件数は落ち着く傾向にあります。
ただし、これらはあくまで目安であり、申告から3年目以降に実施されるケースもあります。
実施のタイムライン例と除斥期間について
例えば2024年1月に亡くなり、同年11月に申告期限を迎えた場合、2025年または2026年の8月~11月が最も調査されやすい時期となります。
税務署が課税処分を行う権利には「除斥期間」があり、申告期限の翌日から原則5年が経過すると課税権が消滅します(除斥期間の満了)。
意図しない申告漏れなどは5年で除斥期間が満了しますが、隠ぺいや仮装といった悪質な脱税行為と判断された場合は7年に延長されるため注意が必要です。
2024年1月以降の生前贈与に関するチェックはより重点的に行われるようになった
税務調査では生前贈与も重点的に確認されます。
特に2024年1月以降の贈与から税制改正により、亡くなる前に行われた贈与を相続財産に持ち戻して計算する「生前贈与加算」の対象期間が、従来の3年から段階的に7年へ延長され、完全に移行するのは2031年以降に発生する相続からになります。
そのため、「かなり前の贈与だから大丈夫」という考えが通用しにくくなるため、これまで以上に過去の贈与記録の管理が重要になります。
参考:令和6年1月1日施行 相続税及び 贈与税の 税制改正のあらまし
税務調査の方法は2種類
相続税の税務調査の実施方法には大きく分けて、「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。
相続税の税務調査ではほとんどが任意調査であり、強制調査が行われるのは極めて例外的なケースに限られます。
それぞれの違いを確認しておきましょう。
任意調査
任意調査は一般的な税務調査で、調査の実施が確定すると事前に税務署から代表者のもとへ電話が入ります。
任意調査は相続人の任意で行われるものの、国税通則法に基づく、「受忍義務」があるため、正当な理由なく拒否すると罰則(1年以下の懲役または、50万円以下の罰金)が科される可能性があります。
やむを得ない事情がある場合は日程の調整が可能ですが、調査自体を拒否することはできません。
任意調査は被相続人が生前に生活していた自宅を訪問する実地調査を行うのが原則ですが、電話での聴取や相続人が税務署を訪問して必要事項を確認するだけの調査で終わるケースもあります。
参考:「税務調査を拒む正当な理由について」-調査の必要性と納税者の人権との調和の問題
強制調査
強制調査は、悪質な脱税が疑われた場合に実施される税務調査です。
国税通則法に則り、裁判所が交付した許可状をもとに国税局査察部が調査を実施します。
任意調査と異なり、事前の電話連絡はなく、抜き打ちで行われるのが原則です。
※旧「国税犯則取締法」は2018年(平成30年)4月に国税通則法へ統合・廃止済みです。
参考: 税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)|国税庁
相続税の税務調査が入るのはいくら以上?金額の目安
「相続財産がいくら以上だと税務調査が入るのか」は多くの方が気になるポイントです。
法律上「○○円以上で必ず調査する」という明確な基準は公表されていません。
しかし実務上は、相続財産の総額が2億~3億円を超える場合に調査対象となる可能性が高まる傾向があるとされています。
これは、相続財産が大きいと財産評価や税額計算のミスが起こりやすく、更にミスがあったときの金額のインパクトが大きくなるという理由が考えられます。
ただし、相続財産が少額であっても以下のようなケースでは調査対象になりえます。
- 申告書の内容に不自然な点がある
- 税務署が把握している情報と申告内容に大きな齟齬がある
- 無申告であるにもかかわらず基礎控除を超える財産を保有していた形跡がある
つまり、金額だけで安心・不安が決まるわけではなく、「申告内容の正確さ」が税務調査を避けるためのポイントです。
相続税の税務調査(実地調査)が行われる流れ

ここでは相続税の税務調査が行われる流れを解説します。
基本的には、税務署から連絡を受けた後に税務調査が実施されます。
実地調査は午前中から始まり、1日で終わる場合と2日間にわたって行われる場合があります。
流れ1.税務調査の連絡を受ける
相続税の税務調査が実施される場合、税務署から調査実施の連絡が入ります。
相続税の申告を税理士に依頼している場合は税理士に連絡が入りますが、相続人が自分で申告をした場合は相続人の代表者に連絡が届きます。
税務署から税務調査の通知が入った際に、具体的な日時や調査場所を決定するのが一般的な流れです。
調査内容の詳細は共有されないため、相続税の申告内容を証明する資料や相続財産に関する書類を再確認し、準備しておきましょう。
税務調査が実施されるにあたって、準備すべき主な資料や書類は次のとおりです。
- 相続税の申告時に使用した資料の原本
- 相続人の預貯金通帳
- 相続人の認印
- 相続人が所有する土地権利証、不動産の購入時の資料
- 被相続人の預貯金通帳
- 被相続人および相続人の過去5~10年分の預金通帳(税務署は過去の入出金履歴を重点的に確認します)
- 生命保険証券
- 証券口座の取引報告書
- 贈与契約書や贈与税の申告書控え
税理士に依頼している場合は、必要な資料や書類を確認してもらうとよいでしょう。
被相続人のタンス預金や美術品なども相続財産に含まれるため、税務調査が行われる前に財産の見落としがないかの再確認をおすすめします。
流れ2.税務調査が行われる
税務調査には、調査対象の相続人全員と国税調査官(税務職員)2人が参加します。
税理士に依頼している場合は、税理士にも立ち会ってもらいましょう。
午前の流れ
税務調査は午前と午後で内容が異なり、午前の調査は国税調査官の訪問で始まります。
国税調査官が調査場所を訪問する時間の目安は、午前10時です。
午前はヒアリングが中心に行われ、国税調査官から質問があった場合に相続人や税理士が回答します。
国税調査官は、被相続人の経歴・家族関係・趣味・生活費・財産形成の過程など、幅広い質問をします。
一見すると相続と無関係に思える質問もありますが、これは申告内容との矛盾がないかを確認するためです。
質問に対しては事実を正確に、簡潔に答えることが重要です。
わからないことは「確認して後日回答します」と伝えれば問題ありません。
12時ごろになると国税調査官は1時間程度の昼休憩に入ります。
調査官は外食するのが通常であり、相続人側で昼食やお茶菓子を用意する必要はありません。
午後の流れ
午後は、事前に用意しておいた預貯金通帳の中身や貴重品の保管場所を中心に調査が行われます。
預貯金通帳は相続前後のお金の流れがわかるため、税務調査の中でも特に時間をかけて確認されます。
実際に過去の税務調査で預貯金通帳から財産や贈与税の申告漏れ、口座の名義とお金の所有者が異なる名義預金などが発覚したケースも少なくありません。
調査前に申告漏れの財産がないか、預貯金通帳の中身の確認をおすすめします。
調査前に申告漏れの財産が見つかった場合は、調査を待たずに税務署へ修正申告すれば、申告内容の隠ぺい・仮装に対して課される重加算税を避けられるでしょう。
調査の終盤には、国税調査官が当日質問した内容と相続人の回答内容をまとめた書類を作成します。
相続人は書類の記載内容を確認し、訂正箇所や問題がなければ署名と捺印をします。
ここまでが一般的な税務調査の流れです。
現地調査は1日で終了するケースが多いものの、1日で終わらなかった場合は2日目に調査の続きが行われることがあります。
流れ3.調査終了後
実地調査の終了後、税務職員は税務署へ戻り調査内容と申告内容に齟齬がないか最終確認を行います。
調査結果が出るまでの期間は、通常2週間~1か月程度です。
税務調査の結果は代表者のもとに連絡が入ります。
調査結果は大きく分けて次にあげる3つのパターンです。
- 申告是認(しんこくぜにん)
- 修正申告
- 更正処分
申告是認は、相続人が申告した内容に誤りはなかったと税務署が認めることです。
申告是認の場合、追加の相続税は発生しないため、新たな手続をする必要はありません。
ただし、申告内容と税務調査の結果に相違が見つかり、相続人が申告内容の誤りを認めた場合は、修正申告と延滞税や重加算税などを納付する必要があります。
申告内容との齟齬が見つかっても相続人が納得しない場合は、税務署が更正処分を下し、強制的に不足分の相続税の納付を決定します。
不足分の相続税を納付すれば税務調査は完結しますが、納得できない場合は、税務署に再調査の請求(国税通則法75条)を行うことも可能です。
決着がつかない場合は、国税不服審判所に審査請求をしたり、訴訟を起こしたりする方法もあります。
参考:第75条《国税に関する処分についての不服申立て》関係|国税庁
追徴課税の種類と税率
税務調査で申告漏れが指摘された場合、本来の相続税に加えてペナルティとしての追徴課税が発生します。
追徴課税には主に「過少申告加算税」と「無申告加算税」、「重加算税」の3種類とこれに加えて延滞税があります。
過少申告加算税は、申告した税額が本来の税額より少なかった場合に課されるもので、不足税額の10%(不足額が「期限内申告税額」と「50万円」のいずれか多い金額を超える部分は15%)が加算されます。
ただし、税務調査の事前通知前に自主的に修正申告を行えば課されません。
無申告加算税は、申告期限までに申告をしなかった場合に課されるもので、納付すべき税額のうち50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%が加算されます。
重加算税は、意図的に財産を隠したり仮装したりした場合に課される最も重いペナルティで、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%の税率が適用されます。
延滞税は、法定納期限の翌日から実際に納付するまでの日数に応じて発生する利息的なペナルティです。
これらは重複して課されることもあるため、例えば無申告かつ隠ぺい行為があった場合は、重加算税40%+延滞税という非常に重い負担になります。
前述のとおり、過少申告加算税は事前通知前の自主的な修正申告で課されず、無申告加算税についても、調査通知前に自主申告すれば5%に軽減されます。
申告漏れに気づいた場合はできるだけ早く修正申告を行いましょう。
参考:加算税制度の概要
相続税の税務調査で質問されやすい内容

相続税の税務調査では国税調査官から質問を受け、相続人が回答する確認作業が行われます。
質問内容は多岐にわたりますが、大きく「被相続人に関すること」「相続財産に関すること」「相続人に関すること」の3カテゴリに分けて整理できます。
事前にポイントを把握しておくことで、落ち着いて対応できます。
被相続人に関する質問
調査官は、被相続人の職歴や収入歴、趣味、生活費などを詳しく聞くことで「この方の資産規模はどのくらいが妥当か」を推測します。
収入に対して申告された財産が少なければ、申告漏れの可能性を疑います。
主な質問例:職業・勤務歴、生前の年収、生活費の金額、趣味や習慣、入院・介護の状況、財産を管理していた人は誰か、印鑑や貸金庫の有無など
相続財産に関する質問
名義預金・タンス預金・生前贈与は、税務調査で最も指摘されやすいポイントです。
調査官は被相続人名義以外の口座に多額の資金がないか、現金が自宅に保管されていないか、贈与の実態があったかなどを重点的に確認します。
主な質問例:被相続人名義以外の預金口座はないか、タンス預金の有無、生前贈与の有無・時期・金額、相続開始前の大口出金の用途、生命保険の契約内容、不動産の購入資金の出所など
相続人に関する質問
相続人の職業や収入と比較して不釣り合いに高額な財産を保有している場合、被相続人からの資金援助や名義預金が疑われます。
主な質問例:相続人の職業・年収、住宅の購入資金はどこから出たか、孫の教育資金の援助はなかったか、相続人名義の預貯金残高など
調査官がこれらの質問をする最大の目的は、申告されていない財産(特に名義預金・タンス預金・未申告の贈与)を見つけ出すことです。
質問に対しては正直に、事実のみを簡潔に答えましょう。
相続税の税務調査を受けやすいケース

相続税の税務調査を受けやすいケースは次のとおりです。
- 申告書に不備がある
- 申告の必要があるのにしていない
- 多くの金融資産を相続している
- 名義預金やタンス預金がある
- 納税額が大きい
- 相続人自らが申告している(税理士に依頼していない)
それぞれのケースの詳細を解説していきます。
申告書に不備がある
相続税の税務調査を受けやすいケースの一つは、申告書に不備があった場合です。
税務署では申告書をスキャナーにかけてデータを読み取り、相続税の計算に誤りがないかを確認するのが一般的な流れです。
更に、独自で収集した被相続人が名義になっている預貯金の資金の流れや不動産、金融資産などの財産の情報と、申告書の内容を照合して齟齬がないかを確認します。
申告書の内容に不備があり、意図的な申告漏れや財産隠しなどの疑いがかかった場合は税務調査の決定が下されます。
申告期限が迫っている中で申告書を作成すると、焦りから計算間違いや確認漏れなどのミスが起こりやすくなるでしょう。
早めに申告書を作成し、計算や記載内容に誤りがないかを確認する時間を十分に確保することが大切です。
申告の必要があるのにしていない
相続税の申告が必要であるにもかかわらず申告をしなかった場合に、税務調査が入る可能性があります。
たとえば、特例や税額軽減などを利用することで、納めるべき相続税が0円になることがありますが、制度を利用するためには申告が必要です。
また、自分で計算した結果、申告や納税が不要だと判断できた場合でも、相続税の計算ミスや相続財産の見落としなどで、実際には遺産総額が控除額の上限を超える場合があります。
このような申告漏れを防ぐため、遺産総額が基礎控除額に近い場合は、申告の準備をしたり、税理士に相談するといった対応をおすすめします。
税務署は所得税の申告書の情報も収集しており、誰がどのくらいの財産を所有しているのかをおおよそ把握しています。
相続税の申告でこれらの情報と大きく差があると、相続財産の申告漏れなどを疑われる可能性があるため、相続財産の把握は丁寧に行いましょう。
多くの金融資産を相続している
相続税の申告の有無にかかわらず多額の金融資産を相続した場合は、税務調査が入りやすくなる傾向があります。
実際に、相続税の税務調査の対象となる多くは、申告漏れとなっている金融資産です。
金融資産は入出金などで移動しやすく、明確な金額も分かりやすい性質を持っています。
そのため、調査により申告内容の誤りが見つかる可能性が高く、調査官の目が向きやすいのです。
ただし、遠隔地預金や隠し預金、名義預金などがなく、適正にきちんと申告されているのであれば、過度に心配する必要はありません。
なお、不動産は個別性が強いため、財産としての金額を算出する際に複雑な計算が必要となります。
また、不動産を評価する人が何を基準にするかで評価額が異なり、税務署も評価誤りを立証しづらいため、明確な評価誤りが発覚しないかぎり税務調査が入りにくいのです。
このため、明確な誤りが発覚しない限り、税務調査は入りにくいとされています。
名義預金やタンス預金がある
名義預金とは、口座の名義人と実際の資金提供者が異なる預金のことです。
例えば、親が子名義の銀行口座に入金したとしましょう。
このとき、通帳も印鑑も親が管理しており、子が使用できない状態であれば、形式的には子の名義であっても実質的な贈与は成立していません。
そのまま相続が起こると、子名義の口座の預金は親の財産とみなされ、相続税が課税される可能性があります。
これが、「名義預金」であり、税務調査の対象となりやすい、非常に重要なポイントです。
自宅に保管しているタンス預金も、相続財産に含まれます。
税務署は被相続人の生前の収入や預金口座の出金履歴から、現金の保有額をおおよそ推定しているものです。
申告された金額と大きな乖離がある場合は、調査対象となりやすくなります。
納税額が大きい
納税額が多い富裕層は、相続税の税務調査の対象になるケースが多く見られます。
富裕層の被相続人から財産を相続した場合や、富裕層の親族間で相続が行われた場合は注意が必要です。
ただし、富裕層であることが税務調査の対象に直結する訳ではなく、あくまでも総資産額と相続税の申告内容に齟齬があった場合に税務署が税務調査を実施すべきかの決定を下します。
税務署では申告者の給料や高額商品の購入履歴などのデータを収集しており、大まかな総資産額の算定が可能です。
富裕層の被相続人から相続財産を受け取った場合は、財産の総額に応じた相続税が発生すると予想されるでしょう。
申告された相続税の金額が少ないと租税回避行為や申告漏れ・財産隠しなどの疑いで、税務調査が入りやすくなります。
相続人自らが申告している
相続税の申告を税理士に依頼せず、ご自身で申告手続を行った場合も税務調査が入りやすくなります。
相続税の申告には15種類を超える申告書の作成が必要です。
相続税や申告方法などの知識を持たない人が申告手続を行う場合、計算ミスや記載漏れ、添付書類の不備の指摘を受けることが多く税務調査の対象になりやすいとされています。
申告書の作成者が税理士であるかどうかは、申告書の1枚目にある署名欄で簡単に確認できるため、税理士に依頼していないことが判明した時点で「申告漏れや記載内容の誤りがあるかもしれない」と疑念を持たれてしまうかもしれません。
相続税の税務調査を受ける人の割合
一般的な目安として、相続税の税務調査が入る確率は3割前後とされています。
国税庁が発表した『令和6事務年度における相続税の調査等の状況』によると、2024年に実施された実地調査件数は9,512件あり、そのうち82.3%は相続税の申告漏れがあったと報告されています。
前年度の2023年の実地調査件数は8,556件であることから、2024年は実地調査件数が増加していることが分かります。
2024年の相続税の簡易な接触件数は21,969件で、5,796件(26.3%)は申告漏れ等の不備がありました。
簡易な接触は国税調査官が訪問して行う実地調査と違い、電話や書面でのやり取りをする調査手法です。
無申告事案に対する実地調査は650件で、そのうち562件(86.5%)で申告漏れが見つかりました。
相続税の税務調査を避ける対策

税務調査は、相続税の申告前の段階で対策すれば回避できる可能性が高まります。
対策のポイントは正しい相続財産を把握し、相続を得意とする専門家に相談することです。
詳しい対策内容を解説します。
相続の相談先には税理士のほか、弁護士や司法書士など多くの窓口があり、各専門家で得意分野が異なります。税務調査対策から登記、遺産分割のトラブルまで、悩みや目的に合わせた最適な相談先の選び方を解説します。
正しい相続財産を把握する
相続税の税務調査を避けるには、被相続人が所有する財産を正確に把握しておくことが大切です。
税務調査の対象にされてしまう理由は、申告した人が相続財産を正確に把握しておらず、正しい相続税を申告できていないためです。
被相続人の財産は、預貯金口座や所有する不動産だけとは限りません。
自宅の金庫やタンス預金、趣味で収集していた美術品も相続財産に含まれます。
そのほか、生命保険金(みなし相続財産)、未収の年金、貸付金、ゴルフ会員権、暗号資産(仮想通貨)なども相続財産となる可能性があります。
なお、生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
相続財産に見落としがあると正しい相続税を申告できないため、申告前に見落としがないか確認したうえで申告手続をしましょう。
また、生前贈与を行っていた場合は、贈与契約書・振込記録・贈与税の申告書控えなど、贈与の事実を証明できる資料を整理しておくことも重要です。
これらの記録がないと、税務調査で名義預金と認定されるリスクが高まります。
参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
相続に強い税理士事務所に依頼する
相続税の申告を得意とする税理士事務所へ依頼することで、税務調査を避けられる可能性が高まります。
税理士事務所は全国にあるものの、それぞれ得意とする分野は異なります。
たとえば、会計や経理を強みとしている税理士がいれば、相続税や贈与税などの資産税を得意としている税理士もいるのです。
相続税に強い税理士に依頼すれば、税務署から申告手続の不備で指摘をされるリスクが減り、結果的に税務調査を回避することができます。
万が一、税務調査が入っても依頼した税理士が対応してくれるので、事前準備などの相談もしやすいでしょう。
書面添付制度を活用する
税務調査を回避するうえで「書面添付制度」(税理士法第33条の2)も有効とされています。
これは、税理士が申告書の作成にあたりどのような書類を確認し、どのような判断を行ったかを書面にまとめて申告書に添付する制度です。
書面添付がある申告書に対して税務署が疑義を持った場合、まず税理士に対して、「意見聴取」が行われます。
この意見聴取の段階で疑義が解消されれば、実地調査が省略されるケースがあります。
つまり、書面添付制度は税務調査の、「防波堤」として機能するのです。
書面添付制度を活用するには、相続税申告の経験が豊富な税理士に依頼する必要があります。
ただし、「書面添付制度」は税理士報酬の追加、作成期間の長期化、申告内容次第では逆効果になるという側面もあるので、その要否については当該税理士にアドバイス受けるとよいでしょう。
不動産を持っている場合は、不動産と相続の両方に強い税理士事務所に依頼する
相続に強い税理士事務所に依頼するメリットは前述のとおりですが、不動産を相続する場合は、更に不動産にも強い税理士事務所をおすすめします。
不動産の中でも土地の評価は難しく、「10人の税理士に依頼すると10通りの評価額が出てくる」と言われています。
評価を証明するための証拠が不十分であるといった不備を指摘されるリスクを減らすためにも、不動産にも精通した事務所に相談することが大切です。
不動産と相続の両方に強い税理士に依頼するメリット
また、税務調査のリスクを減らすこと以外にも、次のようなメリットがあります。
- 不動産鑑定士など、土地の専門家と提携している相続専門税理士の場合、多面的な検討で相続税を抑えられる可能性が高い
- 不動産は簡単に分けられないため相続人同士で揉めやすいが、不動産を含む遺産分割の経験が豊富な専門家が入ることによって、揉めないための遺産分割案を提案してもらうことができる
- 相続した不動産の今後についても相談できる
相続と不動産の両方に強い事務所を見分けるポイント
相続と不動産の両方に強い事務所を見分けるポイントは次のとおりです。
- 不動産に関する相続税申告の実績を公表している
- 相続税と不動産に関する書籍を出版している
- 他の税理士事務所に向けて土地の評価に関する委託受注の案内を行っている
- 不動産鑑定士と提携している(常駐していればさらによい)
- 不動産のコンサルティングについても案内している
実績がある事務所であれば、ウェブ検索で確かめられる場合が多いため、相談する前に確認するとよいでしょう。
税務調査のリスクを抑える適正な土地評価なら「フジ総合グループ」へ
相続税の税務調査において、評価が難しく金額が大きくなりやすい「不動産(土地)」は、税務署から指摘を受けやすいポイントの一つです。
調査官に不備を指摘されないためには、明確な根拠に基づいた精度の高い土地評価が重要です。
フジ相続税理士法人(フジ総合グループ)は、相続専門の税理士と不動産鑑定士が協働して申告業務にあたる専門家集団です。
まさに「相続と不動産の両方に強い事務所」として、以下の強みを持っています。
- 税務署に指摘されにくい適正評価: 専門スタッフが徹底した現地調査や役所調査を行うことで、根拠の確かな説得力のある評価額を算出します。
- 専門家の多面的な視点: 税理士の税務知識と不動産鑑定士の評価ノウハウを掛け合わせることで、税務調査のリスクを抑えつつ、過大評価による税金の納めすぎも防ぎます。
- ワンストップでのサポート: 土地の評価や申告だけでなく、揉めないための遺産分割案のアドバイスや、相続した不動産の売却・活用といった将来のご相談まで、グループ内で一貫して対応可能です。
「自分の土地の評価が適正か不安」「税務調査が入りにくい精度の高い申告書を作成してほしい」とお考えの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
今のお悩みを、相続と不動産の専門家に相談してみませんか?初回のご相談は無料です。オンライン相談にも対応していますので、家にいながら、専門家にご相談いただけます。
相続税の納税がなくても税理士に相談する
一般的には相続税が発生するケースは少ないといわれています。
しかし、可能性はゼロではないため、相続税の税務調査を避ける対策として、相続税の納税がない場合でも税理士へ相談するとよいでしょう。
控除制度の利用により、納税が不要になったとしても相続財産の見落としや計算ミスなどがあると無申告と判断され、税務署から「意図的に相続税の申告を行わなかったのではないか」と疑われるおそれがあります。
また、配偶者の税額軽減(配偶者が取得した遺産が法定相続分以下または、1億6,000万円以下であれば相続税が課されない制度)や小規模宅地等の特例を利用するには、たとえ納税額がゼロであっても相続税の申告が求められます。
まとめ
相続税の税務調査は、相続財産を受け取った人全員が対象者です。
申告書に不備があったり多くの金融資産を相続した場合は、税務調査が入りやすくなります。
また、税理士に依頼せずに自力で申告をすると、税務調査が入るおそれが高まります。
フジ相続税理士法人は、相続専門税理士と不動産鑑定士が協働しているため、特に地主様や不動産オーナー様の相続税申告を得意としています。
お気軽にご相談ください。
なお、相続税申告を承った案件に関して、万一税務調査が入る場合は、基本サービスとして無料で相続税に専門特化した税理士が立ち会いに同席します。
事前準備はもちろんのこと、事後に起こる税務署からの問い合わせまでしっかりサポートいたします。






