準確定申告とは?申告が必要な人・4か月の期限・書き方を解説

準確定申告とは?期限は4か月以内

「準確定申告」とは、被相続人(亡くなった方)が年度の途中で死亡した場合、生前(1月1日から死亡日まで)の所得について、相続人(包括受遺者を含む。)が代わりに行う所得税の確定申告のことです。
申告期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内で、期限を過ぎると無申告加算税が課されたり、延滞税を負担しなければなりません。
本記事では、対象となる方の判定、期限の起算方法、手続の流れ、必要書類と書き方、所得控除や還付金の扱いまでを整理します。

なお、被相続人の方が個人事業主として、事業や不動産賃貸業等を行っており、インボイス登録者であるとか、売上規模が一定以上ある場合、所得税に加えて消費税の準確定申告の手続を行う必要があります。
本記事では、特に断りのない限り、所得税の準確定申告について、解説します。

「死亡日」と「相続開始を知った日」の違い

「死亡日」とは、戸籍法に基づき、死亡届に記載される「亡くなった日」をいいます。

「相続開始」とは、法律上の概念で、相続の発生を意味し、「相続開始を知った日」は、通常、死亡日と一致しますが、相続人が音信不通であったとか、前の順位の全員が相続放棄をした結果、次順位の相続人になったとか、相続人ではなく遺言で遺産を取得する包括受遺者である場合など、死亡日と相続開始を知った日が異なることがあります。

準確定申告とは

「準確定申告」は、被相続人が本来行うはずだった確定申告を、相続人が代わって行う制度です。
対象期間・提出者・申告期限が通常の確定申告と異なるため、両者の違いを押さえてから手続に入ります。

観点準確定申告の位置づけ
対象期間亡くなった年の1月1日から死亡日まで
申告する人相続人及び包括受遺者(相続放棄者を除く。)
提出先被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署(業務センター)

被相続人の所得を相続人が代わりに申告する制度

「準確定申告」は、被相続人の1月1日から死亡日までの所得を計算し、相続人が代わりに申告・納税をする手続です。
確定申告義務のある方が、年の途中で亡くなった場合、被相続人が申告できないため、相続人(包括受遺者を含み、相続放棄した者は除きます。)が代わって申告と納税を行います。
相続人が2名以上いる場合には、原則として各相続人が連署して1通の準確定申告書を提出します(「死亡した者の所得税及び復興所得税の確定申告書付表」を添付します。)。

なお、e-Taxで電子申告送信する場合、相続人が1人であっても、この付表の添付が必要です。
また、相続人が2名以上いる場合、各相続人が申告内容等を確認し署名した上で、「準確定申告の確認書」のイメージデータ(PDF形式)を作成し、e-Taxで送信します。
準確定申告書について、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーからの作成はできません。
市販のe-Taxソフト等を利用することが必要ですので、注意してください。

参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁
参考:所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について|国税庁

通常の確定申告との違い

準確定申告と通常の確定申告は、対象期間・申告期限・提出者・申告先の4点で異なります。
通常の確定申告は本人が1月1日から12月31日までの1年分を翌年2月16日から3月15日までに申告するのに対し、準確定申告は相続人が1月1日から死亡日までの所得を、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告します。

比較項目通常の確定申告準確定申告
対象期間1月1日から12月31日1月1日から死亡日
申告期限翌年2月16日から3月15日相続開始を知った日の翌日から4か月以内
申告する人本人相続人及び包括受遺者
申告先本人の住所地を管轄する税務署被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署(※)
医療費控除の対象1年間に支払った医療費など死亡日までに被相続人が支払った医療費など
配偶者控除・扶養控除の判定時点12月31日の現況死亡日の現況

※準確定申告書の申告先は被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署であり、相続人自身の住所地を管轄する税務署ではありません。書類作成前に管轄を確認してください。

参考:No.2020 確定申告|国税庁
参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁

準確定申告が必要な方と不要な方

準確定申告は、被相続人が生前に確定申告義務を負っていたかどうかで要否が決まります。
加えて、申告義務はなくても還付の対象となる場合には還付申告を検討する余地があるため、三つのケースに分けて判定します。

区分該当する主なケース
申告が必要事業所得・不動産所得等あり、給与2,000万円超、公的年金400万円超など
申告は不要給与所得のみで勤務先が年末調整済み、公的年金400万円以下で他の所得が20万円以下
申告した方がよい高額の医療費、多額の源泉徴収、寄附金控除など還付が見込めるケース

準確定申告が必要となるケース

生前に確定申告義務のあった方は、死亡した年の分も準確定申告が必要となります。
具体的には、事業所得や不動産所得等があった場合、給与収入が2,000万円を超えていた場合、2ヶ所以上から給与を受けていて、年末調整をしていない給与収入と給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えていた場合、公的年金などの収入が400万円を超えていた場合、給与や退職金以外に20万円を超える所得があった場合が該当します。

死亡した年に不動産や株式を売却して譲渡所得が生じたケースや、生命保険の満期金などを受け取り一時所得があるケースも、生前の申告履歴にかかわらず準確定申告の対象となります。
前年の確定申告書の控えが手元にあれば、生前の申告状況を確認する手がかりになります。

準確定申告が必要となる主なケース
  • 事業所得や不動産所得等があった場合
  • 給与収入が2,000万円を超えていた場合
  • 2ヶ所以上から給与を受けていて、年末調整をしていない給与収入と給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えていた場合
  • 公的年金などの収入が400万円を超えていた場合
  • 給与や退職金以外に20万円を超える所得があった場合
  • 死亡した年に不動産や株式を売却して譲渡所得が生じた場合
  • 生命保険の満期金などを受け取り一時所得がある場合

準確定申告をしなくてよいケース

被相続人が1ヶ所からの給与のみで勤務先が年末調整を済ませていた場合、準確定申告は不要です。
給与収入が2,000万円以下で副業などの所得もなければ、年末調整で所得税の精算が終わっています。
公的年金受給者についても、年金収入の合計が400万円以下で他の所得が20万円以下であれば、原則として申告義務はありません。

ただし、申告義務がない場合でも、医療費控除や生命保険料控除により所得税の一部が還付される可能性は残ります。
申告義務の有無と、還付の対象となるかどうかは別の論点として整理しておくと判断が明確になります。

還付を受けるために申告した方がよいケース

申告義務はなくても、源泉徴収された税額が本来納めるべき額より多い場合、準確定申告をすることで還付を受けることができます。
代表例は、被相続人が高額の医療費を支払っていたケース、国・地方公共団体・社会福祉法人などに寄附をしていたケース及び源泉徴収された所得税等のある配当所得があるケースなどです。
年金や配当金からの源泉徴収税額が本来の税額を上回っている場合も還付の見込みがあります。

準確定申告の還付を受けるために申告した方がよい主なケース
  • 被相続人が高額の医療費を支払っていた
  • 国・地方公共団体・社会福祉法人などに寄附をしていた
  • 源泉徴収された所得税等のある配当所得がある
  • 年金や配当金からの源泉徴収税額が本来の税額を上回っている

還付申告は義務ではなく、申告しなくても罰則はありません。
ただし、還付金は被相続人の財産として相続税の課税対象となるため、相続税申告が必要な場合は早めに還付を受けて計算に含めておくと後続の実務がまとまります。

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準確定申告の期限は4か月以内

準確定申告の期限は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内と定められています。
相続ごとに個別に起算日が決まり、遅れると無申告加算税が課されたり、延滞税負担があるため、期限管理が要点となります。

論点内容
起算日相続開始を知った日の翌日
期限までの期間4か月
前年分の扱い未申告のまま死亡した場合、前年分と本年分の2か年分が必要
期限徒過時無申告加算税が課され、延滞税負担がある

起算日は相続開始を知った日の翌日

起算日は、死亡日(亡くなった日)そのものではなく、相続開始を知った日の翌日です。
相続人が被相続人の死亡日に相続開始(自分が相続すること)を知ったのであれば、死亡日の翌日から4か月後の応当日が期限となります。
例えば、被相続人が6月15日に亡くなり、相続人が同日にそのことを知った場合、期限は10月15日です。

災害や孤独死などで死亡日と相続開始を知った日が異なる場合、官公庁からの死亡認定通知や警察からの連絡を受けた日が起算日となります。
相続人によって知った日が異なるケースでは、それぞれの期限が別々に進行するため、代表者を早期に決めて情報を共有することが要点です。

参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁

前年分と本年分の2か年分申告が必要となるケース

前年分の確定申告をしないまま翌年の1月1日から3月15日の間に亡くなった場合、前年分と本年分の2か年分の準確定申告が必要です。
この場合、前年分の申告期限も通常の3月15日ではなく、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に読み替わります。

例えば、被相続人が前年の確定申告をしないまま2月15日に亡くなった場合、前年分・本年分ともに6月15日が期限です。
通常の確定申告期限(3月15日)を過ぎていても、この4か月以内に申告すれば、期限内申告となりますので、延滞税負担もなく、無申告加算税も課されません。
2か年分の書類を並行して用意するため、前年の帳簿・源泉徴収票の所在確認から着手します。

期限を過ぎると無申告加算税が課され延滞税負担がある

期限までに申告をしなかった場合、無申告加算税が課される可能性があり、納付が遅れた日数に応じて延滞税の納付義務があります。
無申告加算税は、税務署の調査による指摘を受ける前に自主的に申告した場合を除き、納付すべき税額のうち50万円までの部分に15%、50万円を超え300万円までの部分に20%、300万円を超える部分に30%の割合で加算されます。

延滞税は、法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて計算されます。
令和8年(2026年)中は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降は年9.1%の割合が適用されます。
書類収集や相続人間の連絡に時間がかかることを見越し、期限を過ぎそうな場合は早めに税務署又は税理士に相談します。

参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁
参考:No.9205 延滞税について|国税庁

準確定申告の手続の流れ

準確定申告の実務は、相続人代表の決定から始まり、必要書類の収集、申告書と付表の作成、税務署への提出という4段階で進みます。
相続人が複数いる場合には、代表者を早期に決めておくと情報伝達がスムーズです。

手順主な作業
手順1相続人代表を決定し、連絡窓口を一本化する
手順2源泉徴収票・控除証明書・領収書などを収集する
手順3準確定申告書と確定申告書付表を作成する
手順4被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署に提出する

手順1 相続人代表を決める

相続人が複数いる場合には、まず代表者を決めます。
準確定申告は原則として全相続人の連署による1通の提出ですが、代表者がいなければ税務署や関係機関とのやり取りが滞りやすく、書類の受渡しにも支障が出ます。
代表者は必ずしも法定相続分の多い方でなくてもよく、書類収集や税務署への訪問がしやすい相続人を選ぶ運用が現実的です。

各相続人が別々に申告することも認められており、その場合は他の相続人に自身の申告内容を通知する義務が生じます。
マイナンバーを他の相続人に開示したくないなどの事情があるときは、この個別提出の運用が選ばれるケースもあります。

手順2 必要書類を集める

続いて、被相続人の所得や控除を確認するための書類を集めます。
会社員であれば勤務先から源泉徴収票を、公的年金受給者であれば日本年金機構などから公的年金等の源泉徴収票を取り寄せます。
小規模共済掛金・生命保険料・地震保険料・社会保険料の各控除証明書、医療費の領収書、寄附金の受領証も、控除を受ける範囲で集めておきます。

被相続人が個人事業や不動産賃貸業を行っていた場合には、青色申告決算書(※)又は収支内訳書の作成が必要です。
この場合、生前の帳簿や請求書・領収書の所在を早めに把握しておかないと、書類収集だけで期限の多くを費やしてしまいます。

そのため、着手時点で書類の所在確認と取寄先の洗出しをまとめておくことが、実務負担の軽減につながります。

※被相続人が生前に青色申告の承認を受けていた場合の準確定申告でも、被相続人の青色申告として扱われますが、被相続人から事業を承継した相続人が改めて青色申告承認申請書を一定の期限内に提出しなければ、相続人自身の申告には青色申告の特典は適用されないことに注意が必要です。

参考:No.2070 青色申告制度|国税庁

手順3 申告書と付表を作成する

準確定申告書には専用の様式はなく、通常の確定申告書の様式を使用し、表題の余白に「準確定」と記入します。
相続人が1人の場合は住所・氏名欄を上下2段に分け、上段に被相続人、下段に相続人を記入します。
相続人が2人以上の場合は、確定申告書付表に相続人全員の住所・氏名・マイナンバー・法定又は指定相続分・相続財産の価額を記入します。

作成にあたっては、国税庁ホームページから該当年分の確定申告書様式と付表様式をダウンロードして使います。
書類の作成で不明点がある場合には、被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署の相談窓口や、税理士への相談も選択肢に入ります。

手順4 被相続人の死亡当時の住所地の税務署に提出する

完成した準確定申告書・付表・添付書類は、被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署に提出します。
提出方法は管轄税務署の業務センターへの郵送、e-Tax、管轄税務署の時間外収受箱への投函から選べます。
e-Taxで相続人が2人以上のときは、相続人全員の署名を含む、「準確定申告の確認書」をPDF化して送信します。

準確定申告書の主な提出方法
  • 管轄税務署の業務センターへの郵送
  • e-Tax
  • 管轄税務署の時間外収受箱への投函

書類チェックを受けたい場合、管轄税務署へ事前に電話連絡してください。
郵送では、控えに受付印の押印がされませんから(令和7年(2025年)1月以降)、特定記録郵便やレターパックを使用し、郵便追跡システムで送達確認することをおすすめします。

なお、国税庁からは「申告書等閲覧サービス」の利用ができると案内されていますが、利用できるまでに期間を要するため、利用される前には、必ず、管轄税務署へ事前電話連絡することをおすすめします。

準確定申告に必要な書類

準確定申告で用意する書類は、申告書本体、確定申告書付表、本人確認書類、収入と控除に関する各種書類の4グループに整理できます。
相続人の人数や還付金の受領方法によって、追加で必要になる書類があります。

書類グループ主な内容
申告書本体準確定申告書(第一表・第二表)
相続人関係確定申告書付表、個人番号(マイナンバー)、相続人全員の本人確認書類
収入・控除関係源泉徴収票、控除証明書、医療費領収書など
手続補助委任状、準確定申告の確認書(e-Tax時)被相続人本人のマイナンバーは記入不要です。

準確定申告書と確定申告書付表

準確定申告書は、通常の確定申告書と同じ様式を用い、表題横の余白に「準確定」と記入します。
相続人が2人以上いる場合やe-Taxで申告する場合には、確定申告書付表(「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」)の添付が必要です。
付表には、相続人全員の住所・氏名・マイナンバー・法定又は指定相続分・相続財産の価額と、法定相続分又は指定相続分で按分した各相続人の納付税額又は還付金額を記入します(※)。

様式は国税庁ホームページからダウンロードできます。
相続人が1人だけで付表の提出を省略する場合、申告書本体の余白に相続人のマイナンバーを記入します。

※円未満の端数処理の取扱いに注意が必要です。
準確定申告では、確定申告書付表に基づき、相続人ごとに個別に納税額又は還付額を計算します。
この際、納税額に100円未満の端数が生じた場合は切り捨てとされており(国税通則法119条1項)、還付金等の額に1円未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる取扱いとなっています(同法120条1項)。

例えば、還付金の総額を法定相続分で按分した結果、各相続人の金額に1円未満の端数が生じた場合には、それぞれの相続人ごとに切り捨てて計算します。
その結果、各相続人の還付額の合計と、確定申告書第一表に記載された還付金額とが一致しない場合がありますが、この差額について特別に調整を行う必要はありません。

参考:確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

被相続人の源泉徴収票と控除証明書

被相続人の所得金額を確認するため、源泉徴収票が必要です。
給与所得者であれば勤務先から、公的年金受給者であれば日本年金機構などから発行してもらいます。
個人事業主であった場合は、青色申告決算書又は収支内訳書を作成するため、帳簿類や請求書・領収書を保管しておきます。

小規模共済掛金・生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除(※)を適用する場合にはそれぞれの控除証明書を添付します。
医療費控除では医療費控除の明細書を作成し、対象となる医療費の領収書又は医療費通知を保管します。

※寄附金控除におけるワンストップ特例制度は、確定申告を行わないことを前提に寄附金控除を受けられる簡便な制度です。
そのため、被相続人が特例適用の申請書を提出していた場合でも、準確定申告を行う場合はワンストップ特例の適用は受けられないことに注意が必要です。

相続人全員の本人確認書類

準確定申告書の付表には、相続人全員のマイナンバーを記入し、本人確認書類の写しを添付します。
写真付きマイナンバーカードを持っている場合、表裏面の写しを添付します。
カードを持っていない場合は、番号確認書類(通知カードやマイナンバー入りの住民票の写し)と、身元確認書類(運転免許証・パスポート・公的医療保険の被保険者証など)を組み合わせて添付します。
被相続人本人のマイナンバーは記入不要です。

委任状と準確定申告の確認書

還付金を代表者が一括で受け取る場合には、他の相続人全員が委任者として住所と氏名を記載した委任状が必要です。
相続人が1人の場合や、各相続人が個別に還付金を受け取る場合には、委任状は不要です。

e-Taxで準確定申告を行い、かつ相続人が2人以上いる場合、各相続人が内容を確認して署名した、「準確定申告の確認書」をPDF化して送信します。
委任状・確認書の様式はいずれも国税庁ホームページから取得できます。

なお、準確定申告書について、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーからの作成及びe-Taxによる電子申告送信はできません。
市販のe-Taxソフト等を利用することが必要ですので、注意してください。

参考:所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について|国税庁

準確定申告書はどのように書く?

準確定申告書の様式は、通常の確定申告書と共通ですが、表題への「準確定」の記入・住所氏名欄の使い方・マイナンバーの記入位置が異なります。
相続人が1人か2人以上かでも書き方が変わるため、それぞれの手順を押さえます。

場面記入の要点
相続人が1人住所氏名欄を上下2段に分け、被相続人と相続人の両方を記載
相続人が2人以上第一表には被相続人のみ、相続人情報は付表に集約
付表相続人全員の住所・氏名・マイナンバー・法定又は指定相続分・相続財産の価額

相続人が1人のときの記入手順

相続人が1人で付表の提出を省略するケースでは、申告書第一表の住所・氏名欄を上下2段に分けます。
上段に被相続人の住所と氏名を記入し、氏名の頭に「被相続人」と付し、氏名の上部に死亡年月日を書き添えます。
下段には相続人自身の住所と氏名を記入し、氏名の頭に「相続人」と付して署名します。

申告書の表題余白には「準確定」と記入し、上部の余白に相続人のマイナンバーを記載します。
被相続人のマイナンバーは記入不要です。
第二表も表題に「準確定」と記入し、住所・氏名欄は第一表と同じ要領で使います。

相続人が2人以上のときの記入手順

相続人が2人以上の場合は、付表の提出が必要となるため、申告書第一表には被相続人の住所・氏名のみを記入し、氏名の頭に「被相続人」と付します。
相続人の住所・氏名・マイナンバーは第一表には書かず、すべて付表に記入します。

このケースでは、第一表の余白に相続人のマイナンバーを書き加える必要はありません。
付表の「相続人等に関する事項」欄に、相続人全員分のマイナンバーを記入します。

確定申告書付表に記入する項目

確定申告書付表には、被相続人の情報、相続人代表の指定、限定承認の有無、相続人全員の住所・氏名・マイナンバー・法定又は指定相続分・相続財産の価額、各相続人の納付税額又は還付金額を記入します。
相続分は、法定相続分による場合は「法定」、遺言による指定相続分の場合は「指定」を丸で囲み、各人の相続割合を記入します。

確定申告書付表に記入する項目
  • 被相続人の情報
  • 相続人代表の指定
  • 限定承認の有無
  • 相続人全員の住所・氏名・マイナンバー・法定又は指定相続分・相続財産の価額
  • 各相続人の納付税額又は還付金額
  • 銀行名・預金の種類・口座番号(還付金の銀行口座への振込みを希望する場合) など

還付金の受取方法として銀行口座への振込みを希望する場合は、銀行名・預金の種類・口座番号を記入します。
ゆうちょ銀行の貯金口座を指定する場合は、貯金総合通帳の記号番号を該当欄に記入します。

参考:国税庁「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」

所得控除の対象範囲

準確定申告で適用できる所得控除は通常の確定申告と同じ種類ですが、対象範囲の時点が異なります。
支出系の控除は死亡日までに支払ったものが対象となり、配偶者控除や扶養控除などの人的控除は死亡日の現況で判定します。

控除の種類判定・計算の時点
医療費控除・社会保険料控除・生命保険料控除など被相続人の死亡日までに支払った額のみが対象
配偶者控除・扶養控除など死亡日の現況で判定(月割計算は行わない)

医療費や社会保険料は死亡日までの支払分が対象

小規模共済掛金・医療費控除・社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除などの支出を要件とする控除は、被相続人の死亡日までに支払った額のみが準確定申告の控除対象となります。
入院中に亡くなり、死亡日の翌日以降に相続人が入院費を支払った場合、その支払分は準確定申告の医療費控除には含めることができません。

死亡日の翌日以降に相続人が支払った医療費や社会保険料は、相続税の債務控除の対象になる場合があります。
あるいは、被相続人と生計を一にしていた相続人自身の確定申告で医療費控除の対象とできる場合もあります。
どちらの適用が有利かはケースにより異なるため、判断に迷う場合は税理士に相談する運用が安全です。

配偶者控除や扶養控除は死亡日の現況で判定する

配偶者控除・扶養控除・障害者控除などの人的控除は、被相続人の死亡日時点の現況で判定します。
年の途中で亡くなった場合でも、要件を満たしていれば控除額は月割ではなく満額適用となります。
例えば、被相続人が6月に亡くなり、その時点で配偶者控除の要件を満たしていれば、控除額は年間の満額です。

配偶者や扶養親族の合計所得金額の判定は、被相続人の死亡日時点の見込みで行うため、死亡後の状況変化は準確定申告の判定に影響しません。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

準確定申告後の実務ポイント

準確定申告は所得税の申告手続ですが、還付金の取扱い、個人事業主の消費税、相続税申告との関係の3点が、実務では続けて論点になります。
特に、還付金と相続税の関係、消費税の期限は見落とされやすい部分です。

ポイント内容
還付金被相続人の財産として相続税の課税対象
消費税個人事業主で課税事業者だった場合、4か月以内に別途申告
相続税申告との関係書類・情報が重複するため一体対応で負担が減る

還付金は相続税の課税対象となる

準確定申告で受け取った還付金は、被相続人の財産として相続税の課税対象になります。
還付金は死亡後に相続人が受け取るものの、還付を受ける権利は被相続人が生前から有していたと解されるため、相続財産に含まれます。

一方、還付金と一緒に受け取る還付加算金は、被相続人の財産ではなく相続人の雑所得として扱われ、相続税の課税対象にはなりません。
還付申告は本来5年以内であれば受け付けられますが、相続税申告(相続開始から10か月以内)で還付金額を含めた計算が必要になるため、相続税申告が見込まれる場合は早めに還付を受ける対応が現実的です。

参考:被相続人の準確定申告に係る還付金等|国税庁

個人事業主は消費税の準確定申告も必要となる

被相続人が個人事業主で、消費税の課税事業者だった場合には、所得税の準確定申告に加えて消費税の準確定申告も必要です。
期限は所得税と同じく、相続開始を知った日の翌日から4か月以内となります。

消費税の準確定申告では、1月1日から死亡日までの課税売上高や仕入税額を基に消費税額を計算します。
所得税とは別の申告書で提出するため、事業を承継する相続人の有無や承継後の課税事業者判定と併せて、税理士に相談する運用が有効です。

参考:D1-15 個人事業者の死亡届出手続|国税庁

相続税申告と一体で進めると負担を抑えやすい

準確定申告と相続税申告は、必要書類や情報の一部が重複します。
源泉徴収票や生命保険関係の書類、財産評価に関わる不動産の資料は、両方の申告で参照するため、別々に進めると同じ書類を2度取り寄せることになりがちです。

期限も、準確定申告が4か月、相続税申告が10か月と近接しており、書類収集から論点整理まで一体で管理した方が全体の効率が高まります。
相続税申告を税理士に依頼する場合、準確定申告も同じ税理士に依頼できるケースが多く、書類共有や論点判断の重複を避けることができます。

また、相続財産に不動産が含まれる場合、相続税申告では土地の評価が全体の税額を大きく左右します。
土地の評価について不安がある場合は、以下の記事も参考にしてください。

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まとめ

準確定申告は、被相続人の1月1日から死亡日までの所得を、相続人が代わりに申告する手続です。
期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内で、無申告加算税や延滞税を避けるためには、この期限内に書類収集から申告書提出及び納付までを完了させる必要があります。
対象となる方の判定・必要書類の準備・申告書の記入方法を早い段階で押さえておくことで、実務の遅延を防げます。

準確定申告は、相続人の代表決定や書類収集に時間がかかりやすく、相続税申告と重なる情報も多い領域です。
書類の準備と判断の負担が想定より大きいと感じる場合には、相続税申告と一体で税理士に相談することが、期限管理と後続の相続税申告の両面で現実的な選択肢となります。

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東京・大阪・名古屋に事務所を構え、地主様や不動産オーナー様を中心に、相続税申告・生前対策・相続税還付までを一貫してサポートしています。

準確定申告は、その後の相続税申告や不動産の相続手続と情報が重なる領域が多く、はじめから相続税申告を見据えて進めた方が全体の負担を抑えやすい場面が多い領域です。
「4か月という期限の中で何から着手すればよいのか整理したい」「相続財産に不動産が含まれるため税理士に相談したい」といったお悩みには、初回のご相談から丁寧にご対応いたします。
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松谷 幸三(相続専門の税理士)

この記事の監修者

フジ総合グループ 大阪事務所 社員税理士 松谷 幸三(まつや こうぞう)|税理士
国税専門官として税務署及び国税局に在籍。
大蔵省及び法務局へも出向し、知見を深める。
税理士、宅地建物取引士及び賃貸不動産経営管理士として、フジ総合グループ大阪事務所にて、相続税を中心に幅広い相続・不動産関連業務に携わる。
藤宮 浩(不動産鑑定士)

この記事の監修者

フジ総合グループ代表 藤宮 浩(ふじみや ひろし)|不動産鑑定士
フジ総合グループの代表を務め、年間1,100件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。
相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行うほか、テレビ、雑誌、新聞など、各種媒体への出演、寄稿も行う。

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