事例に学ぶ相続税還付

隣接した土地を一体評価。「広大地評価」を適用し相続税還付(還付額 約740万円)

依頼者: N県N市在住 村上様(仮称)
依頼内容: 家業である材木加工業を引退した父親が他界。3,870万円の相続税が発生し、家業の経営も苦しい折、大変な苦労をして納税を済まされたとのこと。相続税申告から4年半近く経ったころ、「100万円でも200万円でも戻ってくるならありがたい」とご連絡があり、相続税還付手続きをご依頼いただきました。
減額要因: ■複数の店舗が長屋式に入っている貸家の敷地。
住宅地図上は一体で利用されているにも関わらず、道路側と奥側の二つに分けて評価がなされていました。

隣接した土地は「一画地」として評価

相続の対象となった土地は、自宅敷地、家業である木材加工業の工場の敷地、アパート敷地、そして街道沿いにある複数の店舗が長屋式に入っている貸家の敷地でした。

ご自宅にお伺いし相続税の申告書を拝見しましたが、自宅敷地、工場敷地、そしてアパート敷地の評価は適正に行われており、一見したところ、主だった「減額要因」は見当たりませんでした。

ただひとつ、複数の店舗が長屋式に入っている貸家の敷地の評価方法に、なんとなく違和感を覚えました。住宅地図上は一体で利用されているにも関わらず、評価単位を道路側と奥側との二つに分けて評価していたのです。

道路側(以下A土地という)は村上様の父親名義で、「雑種地」として『自用地評価』、奥側(以下B土地という)は村上様の父親が借地権を有している土地で、『貸家建付借地権の評価』となっていました。

村上様に現地を案内してもらい実際に敷地も拝見しましたが、やはりA土地とB土地との間にはっきりとした境はなく、敷地全体を店舗敷地として一体で利用されています。一方、道路側のA土地は店舗に来客されたお客様専用の駐車場として利用されているため、B土地にのみ建物が建っているとも判断できます。このような土地の場合、どう評価するのが原則なのでしょうか?

この場合、A土地部分とB土地部分を「一画地」として『一体評価』するのが原則です。一体評価したうえで、A土地部分に関しては「貸家建付地」としての補正、B土地部分に関しては「貸家建付借地権」としての補正を面積按分してそれぞれに行うことになります。A土地上に建物は建っていませんが、「貸家」の敷地であることには変わりありませんので「貸家建付地」としての評価がよいのです。

地積が大きくなり、広大地評価が可能に

また、当初の申告時においては、A土地(約450㎡)とB土地(約660㎡)を別個に評価していたことから、いずれも『広大地評価』の面積要件を満たすことができず、『原則的評価』を行っていました。ところが、一体評価することによって、合計地積が約1,110㎡となり、『広大地評価』適用の可能性まで出てきたのです。

街道沿いの店舗敷地として利用されているため『広大地評価』の適用は難しいことも考えられましたが、「道路背後地には普通住宅が集積していること」や、「容積率が200%の地域であるが、現況、著しく容積率が未消化な状態であること」等を考慮し、『広大地評価』は可能であるとの判断をいたしました。そして、これらの説得材料を付した「評価意見書」を添付し、手続きを行いました。

請求通りの還付が成立

上記内容を織り込んだ評価意見書を添付し、「更正の嘆願」を行った結果、広大地評価の主張を含め、当事務所の請求通りの全額還付が認められることになりました。

その結果、元々の納税額が約3,870万円だったものが、3,130万円に更正され、なんと740万円もの相続税が還付されることになったのです。「100万円でも200万円でも戻ってきてくれたらありがたい・・・」と思って始めた手続きだっただけに、村上様には大変喜んでいただけました。

今回のポイント

  • 国税通則法第24条の「更正の請求期限」(申告期限から1年間)を経過してしまった後でも、上記のように明らかな「土地の過大評価」が認められる場合には、申告期限から5年以内であれば還付の可能性がある。※平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する場合には、更正の請求期間が原則5年に延長されます。
  • 他の地主から借りている「土地(借地権)」と自分の所有する土地を一体で利用している場合には、個別に評価をするのではなく、「一体評価」をすることが原則である。
  • 借地上に貸店舗、貸家、貸事務所等が存する場合には、「貸家建付借地権」としての評価となる。
  • 実際に建物が建っていなくても、上記のように「一体評価」した敷地上に建物が存する場合には、「自用地」ではなく「貸家建付地」としての評価が可能である。
  • 「広大地評価」の適用が妥当かどうかはっきりとしない場合には、不動産鑑定士等による「評価意見書」が有効となる場合がある。