事例に学ぶ相続税還付

複数の貸家のある土地の評価上の区分を改め相続税還付(還付額約3000万円)

依頼者 K県S市 松原様(仮名)
きっかけ 懇意にしている不動産会社から当グループの相続税還付手続きを紹介され、相続税の見直しをおまかせいただけることになりました。
減額要因 ■複数の貸家のある土地の評価上の区分
複数の貸家のある土地(貸家建付地)は、賃貸借契約の目的になっている各棟の敷地ごとに評価することを原則とします。このときに物理的一体性、機能的一体性を鑑みて各建物が一体のものとして機能しているかを検討することが必要になります。本事例は、これに基づいて適正な評価単位を判定した結果、減額が認められたものです。

K県S市にお住まいの松原様(仮名)は、2年前にお父様から現金や預貯金、建物、土地などを相続されました。

あるとき、懇意にしている不動産会社から当グループの相続税還付手続きを紹介され、相続税の見直しをおまかせいただけることになりました。

松原様のご自宅に伺い、拝見した土地評価資料からは、主立った減額要素はないように見受けられましたが、続いて行った現地調査で、ある気になる点を見つけました。

依頼者の松原様が所有の土地は、路線価15万円/㎡の道路に面しており、法人に貸している建物が4棟(A・B・C・D棟)建っていました。各棟は外観からみて構造上独立しています。当初の申告はその4棟の敷地を一つの貸家建付地として1億5990万円と評価していました。私たちはこれに疑問を抱き、資料をお預かりし、一度、検証を行うことにしたのです。

機能的に一体かどうか

貸家の建つ宅地(貸家建付地)を評価する場合において、一団の土地に貸家が数棟あるときは賃貸借契約の目的になっている各棟の敷地ごとに評価するのが原則です。ただし、このときに外観からみて構造上の一体性が認められない場合であっても、「機能的に一体かどうか」を確認することがポイントになります。

松原様へのヒアリングや資料調査を行っていくと、A・B・C棟はK社と、D棟はM社と建物賃貸借契約を結んでいることがわかりました。このことから、まずA・B・C棟の敷地とD棟の敷地はわけて評価する必要がありました。

次にA・B・C棟が機能的に一体であるかを調べると、A棟はK社の事務所、B・C棟はその営業活動を行う上で必要な資材や物資等を保管しておく倉庫として利用されていることが判明しました。A・B・C棟は、K社の営業活動に不可欠なものであり、そのどれかが欠けても事業活動に影響を及ぼすことが容易に想像でき、この点でA・B・C棟は「機能的に一体である」と判定できました。

以上のことから、評価上の区分をA・B・C棟の敷地とD棟の敷地とに改め、A・B・C棟の敷地には広大地評価を適用したところ、その評価額は合計で9,833万円となり、6,100万円も減額されました。そして、他の土地の評価も見直して更正の請求を行い、税務署に認められ、松原様には約3,000万円もの相続税が戻ってきました。

今回のポイント

複数の貸家のある土地(貸家建付地)は、賃貸借契約の目的になっている各棟の敷地ごとに評価することを原則とする。当事例のようにA・B・C棟が物理的に独立していていたとしても機能的一体性が見られる場合には、各棟の敷地を一画地の土地として評価する。