相続税還付ビジネスは信頼できる?相談先の見つけ方を紹介!

相続税還付ビジネスとは

相続税の納税を終えた後、「本当にこの金額で正しかったのだろうか」と疑問を感じる方は少なくありません。
特に、相続財産に土地が含まれる場合、その評価額が適正であったかどうかが納税額に大きく影響します。

そのような中で、いわゆる「相続税還付ビジネス」という言葉を耳にし、関心をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、相続税還付の仕組みから、なぜ相続税の過払いが発生するのか、そして、「安心できる相談先」の見つけ方まで、詳しく解説していきます。

相続税還付ビジネスとは?

相続税還付ビジネスとは、過去に納めた相続税の額が本来より多かった場合に、税務署へ「更正の請求」と呼ばれる手続を行い、過大に納付した税金の還付を支援する事業をいいます。

特に、相続財産の中で不動産の割合が高い場合、土地の評価を見直すことで還付につながることがあり、相続税法・関係諸法規・不動産の時価評価等に関する専門的な知識が必要となります。

払い過ぎた相続税を取り戻す仕組み

相続税は、納税者が自ら相続財産を評価し、税額を算出して申告する「申告納税制度」に基づいています(国税通則法第14条)。

このため、土地など専門的な評価を要する財産について、過大に評価してしまうことがあります。

相続税の還付(更正の請求)とは、申告内容に誤りがあったことを納税者側が主張・立証し、税務署が内容を認めた場合に、過大に納めた税額を返還してもらうための制度です。

なお、この手続は、相続税の法定申告期限から5年以内であれば行うことができます(国税通則法第23条第1項)。

手続の名称対象期限手続の概要
更正の請求納付した税額が過大であった場合相続税の法定申告期限から5年以内減額更正を求め、過大納付分の還付を請求
修正申告納付した税額が過少であった場合相続税の法定申告期限から5年以内(税務署からの指摘前までは自主的な修正が可能)誤りを訂正し、不足分を追加で納付

なぜ相続税の過払いが発生するのか

相続税の過払いが生じる主な原因は、相続財産の中で大きな割合を占める「土地」の評価が複雑であることにあります。

土地の形状、接道状況、利用制限などの個別要因によって評価額が大きく変動するため、これらを正確に反映できていない申告では、結果として税額が過大になることがあります。

土地評価には、地形や道路条件など多角的な要素を考慮する必要があり、専門的な知識や実務経験を有する税理士が、財産評価に精通した不動産鑑定士等の専門家と連携しなければ適正な評価が難しい場合もあります。

こうした背景から、一度納めた相続税評価を、相続税還付手続きに強い事務所にセカンドオピニオンで見てもらい、万一還付可能性があれば還付請求にチャレンジするケースが増えています。

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相続税が還付される主なケース

相続税の還付が生じやすいのは、相続税の土地評価で適正な時価が反映されていない場合が挙げられます。

ここでは、代表的な二つのケースを解説します。

最も多いのは土地評価額の見直し

相続税還付の最も一般的な理由は、土地の評価が本来よりも高く申告されていたケースです。

土地の評価は一律ではなく、形状・面積・周辺環境・利用制限など、個別の事情に応じて補正する必要があります。

例えば、形がいびつな「不整形地」や、建築基準法上の道路に接していない「無道路地」、または騒音・日照阻害・高圧線などにより利用価値が下がる土地は、評価額を減額できる場合があります。

しかし、これらの要因が申告時に十分考慮されていないことが多く、過大評価となる原因の一つです。

減額要因の例内容
不整形地補正L字型や三角形など、整形でない土地について、利用効率の低下を考慮して評価を減額する。
地積規模の大きな宅地の評価周辺の宅地に比べて面積が大きい場合に、利用効率を考慮して評価を減額する(平成30年1月1日以降に導入)。
無道路地建築基準法上の道路に接していない土地で、建築制限があるため評価を大幅に減額する。
利用価値が低下する宅地騒音、日照阻害、高圧線下、墓地隣接などにより、利用価値が下がる土地の評価を減額する。

特殊な形状の土地における評価減額

例えば、道路から細い通路を通った奥にある「旗竿地」は、利便性が低く、建築費も割高になるため、評価が低くなります。

また、土地の一部に崖や傾斜地が含まれている場合、その部分は建築や利用が制限されることから、評価額を減額できることがあります。

こうした要素を正確に反映させることにより、適正な土地評価に基づく相続税の見直しが可能になります。

税理士への相談がおすすめな理由

相続税の還付を検討する際には、相続税と土地評価の双方に精通した税理士事務所や、相続税土地評価に強い不動産鑑定士と協働する事務所へ相談することをおすすめします。

ここでは、その理由を三つの観点から説明します。

そもそも還付が発生しない「適正な申告」を目指せる

本来であれば、最初の申告の段階で正しい評価と税額を算出することが理想的です。

相続税に精通した税理士は、土地評価や特例の適用を正確に行い、納税者に有利でありながらも税務署から認められる水準の「適正な申告」を実現します。

こうした適正な申告は、将来的な税務調査や追徴課税のリスクを減らす効果もあります。

「不動産評価」の精度が高い

相続税還付の可否を左右する土地評価には、税務知識だけでなく不動産の実務的な理解も求められます。

相続税還付手続きに強い税理士事務所は、土地評価に精通した不動産鑑定士等と連携し、現地調査や役所調査を踏まえて適正な評価を行うことができます。

これにより、一般的な申告では見落とされがちな減額要因を見つけ出し、過大な評価を防ぐことが可能です。

精度の高い土地評価が、結果として適正な還付につながるといえます。

2次相続まで見据えた長期的視点でのアドバイスをもらえる

相続は、1回限りで完結するとは限りません。
例えば、父の相続(1次相続)のあと、母の相続(2次相続)が発生することもあります。

このような場合、1次相続の段階でどのように遺産分割や申告を行うかによって、2次相続時の税負担が大きく変わります。

経験豊富な税理士であれば、将来の2次相続まで見据えた提案を行い、家族全体の税負担を最小限に抑えるサポートが可能です。

安心して相談できるパートナー(税理士)の選び方

安心して相談できる税理士を選ぶには、いくつかの客観的な基準を確認することが大切です。

ここでは、後悔しないための三つの重要なポイントを紹介します。
これらを踏まえて検討すれば、安心して相談できる専門家を見つけやすくなります。

相続税と土地評価に特化しているか

相続税の申告は、さまざまな相続財産を適正に評価し、適切に特例適用を行う高度な専門性が求められる分野です。

したがって、相続税を主たる業務として扱う事務所が好ましく、さらに相続財産のうち土地の割合が高い方は土地評価に精通している税理士事務所を選ぶことが望ましいでしょう。

事務所のホームページに、土地評価の具体的な事例や調査方法などを分かりやすく紹介しているかも、専門性を判断する一つの手がかりです。

また、不動産鑑定士や土地家屋調査士や一級建築士と協働している事務所であれば、より高度なサポートが期待できます。

チェック項目判断基準
ホームページ相続税や土地評価に関する専門的な情報が分かりやすく掲載されているか。
実績相続税の申告・還付に関する実績が豊富で、具体的な対応事例を提示できるか。
他の専門家との協働不動産鑑定士や土地家屋調査士や一級建築士などの専門家と協働しているか。

還付に関する実績が豊富であるか

相続税の還付手続(更正の請求)は、通常の申告よりも専門的な判断が必要です。

誤りを訂正して還付を受けるには、評価や法解釈の妥当性を資料で裏づけ、税務署に説明する力が求められます。
そのため、単に相続税の申告件数が多いだけでなく、還付請求の実績や事例を明確に示しているかを確認しましょう。

実績を公開している事務所では、どのような土地評価の見直しで還付を実現したかなど、具体的な事例を紹介している場合があります。

こうした情報は、信頼性を判断するための有力な参考になります。

チェック項目確認するポイント
専門分野「相続税専門」や「資産税特化」といった明記があるか。
実績(件数)申告・還付請求の件数や事例が具体的に示されているか。
報酬体系料金体系が明確であり、事前に説明が行われているか。

契約前に報酬を明示してくれるか

報酬に関する誤解やトラブルを防ぐためには、事前に報酬が明確であることが重要です。

相続税の還付手続きは、「還付された額の〇%を報酬とする」といったように、報酬が金額ではなく、割合となっている場合が多くあります。
税務署が還付額を決定するまで、正確な還付額が分からないためです。

契約前に、報酬の割合を明確に提示してくれる事務所だと安心です。
また、追加費用が発生する条件を事前に説明してくれるかどうかも重要な確認ポイントです。

報酬の説明が丁寧で、依頼者が納得したうえで契約を進められる事務所は、透明性と信頼性の高いパートナーといえるでしょう。

まとめ

相続税の還付は、主に土地評価や特例の適用誤りなど、申告内容の不備が原因で発生します。
このような場合、「更正の請求」の手続を行うことで、過大に納めた相続税を還付してもらえる可能性があります。

相続税と土地評価の実務に精通した税理士等に相談することで、制度の正確な理解と、公正な手続に基づいた対応が期待できます。

信頼できる税理士を選ぶ際は、相続税と土地評価への専門性、還付対応の実績、料金体系の明確さ、この3点を確認し、納得できる形で依頼を進めることが重要です。

藤宮 浩(不動産鑑定士)

この記事の監修者

フジ総合グループ代表 藤宮 浩(ふじみや ひろし)|不動産鑑定士
フジ総合グループの代表を務め、年間1,100件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。
相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行うほか、テレビ、雑誌、新聞など、各種媒体への出演、寄稿も行う。
髙原 誠(相続専門の税理士)

この記事の監修者

フジ総合グループ副代表 髙原 誠(たかはら まこと)|税理士
フジ総合グループの副代表を務め、不動産に強い相続専門事務所の代表税理士として、年間約1,100件の相続税申告・減額・還付案件に携わる。
多くの経験とノウハウを活かした相続実務に定評があり、プレジデントや週刊女性など各種媒体への寄稿・取材協力も多数行う。

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