【事例】弟の共有持分を兄に売却して相続財産を400万円圧縮!

弟の共有持分を兄に売却して相続財産を400万円圧縮

共有とは、一つの不動産を「持分」という割合で複数人の共有者が持ち合う状態です。
共有不動産は売却に共有者全員の同意が必要など、利用に制約が多くトラブルになりやすいため、「共有問題=共憂問題」とも言われています。
今回は弟の持分を兄に売却することで共有不動産の問題を解決し、相続財産も圧縮することができた事例をご紹介します。

共有する倉庫を所有するお客様から相続対策のご相談が

南様の家族構成と保有財産

愛知県L市にお住まいの南様(仮名)は、倉庫の敷地を所有しています。
こちらの倉庫は、もともとはお父様が倉庫業者と契約を結び、お父様名義で建築したもので、お父様が亡くなった際、お母様がすでに他界されていたため、南様と南様の弟様が相続されました。
そんな中、南様ご自身が体調を崩すことが多くなったことから、「子どもへの相続に備えて、できる対策をしておきたい」と、当グループにご相談をいただきました。
南様のご自宅に伺い、保有する資産の状況、遺産分割方針などを確認する中で、とくに気になったのが、この倉庫の共有状態でした。

不動産を共有するデメリットとは

共有のデメリット

不動産が共有の場合、売却をはじめ、土地の利用や形質の変更、建物の取り壊し、新築、借地借家法で規定する賃貸借契約といった行為は、共有者全員の承諾がないとすることができません。
共有者にはそれぞれの思惑があるのがふつうで、統一的な意思形成に困難が生じることも多く、結果として財産が「塩漬け」になってしまうことがよくあります。

一方、共有者のひとりは、その持分の範囲において、不動産を自由に処分することが可能です。
たとえば、自己の持分をほかの共有者や第三者に売却する行為は、法律上、とくに制限されません。
ただし、共有不動産の持分は、単有の不動産に比べ流動性や換金性に乏しく、低い金額でしか取引されないのが通常です。
また、共有者のひとりに相続が起こった場合、その持分は、原則、その相続人に承継されます。
そのため、相続を経るごとに共有者が増加することになり、ただでさえ難しい合意形成が、ますます困難になります。

南様の場合、倉庫の経営は南様のご家族が担うことを弟様と確認されており、経営に特段の支障は生じていないとのことでしたが、両者に奥様とお子様がおり、現状のまま相続が発生すると、それぞれの相続人様に所有権が移転することになって、権利関係が複雑になります。
そのため、共有の解消をご提案したところ、お二方からご了承をいただけたため、具体的な実行のステップに移ることにしました。

倉庫を単有化し、共有状態を解消

共有の解消にはさまざまな方法がありますが、南様には不動産経営にともなう地代収入が蓄積されていたことから、今回は弟様の持分を南様が購入し、単有化することにしました。

このように、ほかの共有者の持分を購入する場合、注意しなければならない点があります。
それは、不動産売買の当事者が今回の南様と弟様のような「親族」で、売買価格が不当に低い場合、取引が「贈与」とみなされ、高額な贈与税が課税されることがある点です。
取引価格が適正であることを示すには、不動産鑑定士による鑑定評価を用いるのが効果的です。

鑑定評価は、経済情勢や地域の開発動向、公法上の制限のほか、不動産の形状や面積など多数の要因を考慮して行うため、導き出された金額は「適正な時価」とされ、これに基づく取引を行うことで、取引の信頼性を担保できます

相続税評価額を400万円以上も圧縮することに成功!

共有解消し相続税の圧縮に成功

当グループで倉庫の弟様の持分を鑑定評価した結果、評価額は約2200万円と査定されました。
この金額に基づく売買を行い、また持分移転登記を、提携する司法書士を通じて実施。
晴れて、倉庫を南様の単有とすることができたのです。
(この一連の流れの中で、南様には「登録免許税」と「不動産取得税」が、弟様には「譲渡所得税」が課税されます)

今回の施策によって、南様は、弟様に現金を移転させることになり、相続財産を400万円近く圧縮することに成功しました。

今回のポイント

共有不動産の売却、活用といった行為は、共有者全員の承諾が必要なため、結果として不動産が「塩漬け」になってしまうことがあります。
共有の解消には「ほかの共有者の持分を購入する」といった方法があり、それによって相続税評価額の圧縮が期待できます

共有不動産の問題を解決して、次の相続に備えるなら…

今回は、兄弟間で不動産を売買することにより共有の問題が解決しました。
共有不動産の解消方法は他にも、分割、贈与、所有者間売買、交換、一体売却など様々な選択肢があります。
共有不動産の問題に対する円満な解決方法を検討するためにも、様々な選択肢を提案してもらえる事務所に相談することをおすすめします。

お客様にいただくご相談の中では、よく分からないまま共有で不動産を相続し、その後もなんとなくそのままにしてしまったがために何人もの所有者とのトラブルに発展してしまったというお話も珍しくありません。
このような事態を防ぐためにも、共有の解消は早めに着手しましょう。

フジ総合グループは、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅建士と、不動産と税金の専門家が多数所属しているため、不動産問題を円満に解決いたします。
共有不動産でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

あわせて読みたい
不動産の共有を解消して相続に備えましょう

土地を共有名義にしていると、相続でさらに権利関係が複雑になり、大きなトラブルの原因になります。問題を次世代へ残さないために、今のうちに解決しませんか?

フジ総合グループにお任せください
相続対策シミュレーション

地主様・不動産オーナー様のためのオーダーメイドな相続対策をご提案しています。精度の高い土地評価をもとにしたムダのない対策をプランニングし、最適なタイミングで実行をお手伝いします。

藤宮 浩(不動産鑑定士)・髙原 誠(相続専門の税理士)
【左】フジ総合グループ代表 藤宮 浩(ふじみや ひろし)不動産鑑定士/相続税還付業務の第一人者として、テレビ、雑誌、新聞など、各種媒体への出演、寄稿を行う。【右】フジ総合グループ副代表 髙原 誠(たかはら まこと)税理士/不動産に強い相続専門事務所の代表税理士として、年間約990件の相続税申告・減額・還付案件に携わる。