リフォームで相続税評価額は下がる?節税効果と計算方法を解説

リフォームで相続税評価額は下がる?

実家の老朽化が進んでくると、親御さんが快適に過ごせるようにリフォームを検討される方も多いのではないでしょうか。
同時に、「リフォームをすると相続税対策になるらしい」といった話を耳にして、本当かどうか気になっている方がいるかもしれません。
リフォームは内容によって、評価額が上がる場合と変わらない場合があり、決して相続税評価額が下がるわけではないので、仕組みを正しく理解していないと思わぬ税負担の増加を招く可能性があります。

この記事では、リフォームと相続税評価額の関係や、相続税対策として有効なリフォームのポイントについて解説します。
ご実家の状況に合わせた適切なリフォーム計画を立てるための判断材料として、ご活用ください。

「建物」と「家屋」

本記事内で「建物」と「家屋」との表現が出てきますが、意味合いが異なるものではありません。

「建物」は、一般的な用語であるとともに、不動産登記法、建築基準法及び民法などの法律でも広く使われています。
これに対し、「家屋」は、建物の中でも、居住用を意味する住宅として意味合いがあるのが一般的なのですが、税務上、固定資産税評価の対象となるものを指し、住宅には限られません。
本記事は、居住用建物に関するものであり、税務上の用語として、家屋との記載がありますが、意味合いは異なるものではありません。

もくじ

リフォームで相続税評価額は変わるのか?

リフォームを行った際に、家屋の相続税評価額がどのように変化するのかは、多くの方が最初に疑問に思うポイントです。
家屋の相続税評価額は、原則として、市町村等が定める固定資産税評価額(地方税法341条以下)に評価倍率1.0を乗じて算定するため(財産評価基本通達89)、リフォームをしたからといって、必ずしも相続税評価額が上がるわけではありません。

※原則、家屋の相続税評価額=固定資産税評価額なので、以降、「相続税評価額」、「固定資産税評価額」及び「評価額」との記載が出てきますが、殊更に区別していただく必要はありません。

修繕によって建物の資産価値が向上しても、固定資産税評価額そのものが上がらないのが通常だからです。
工事の内容やタイミングによっては、相続税評価額が加算される例外的なケースもあります。
まずは、相続税評価額が変わる原則と例外について整理しておきましょう。

リフォームの性質相続税評価額への影響(財産評価基本通達21、89、93)具体的な工事例
維持・管理(修繕費)原則として変わらない壁紙の張替え、外壁塗装、設備の修理
価値の増加(資本的支出)工事直後に相続が発生すると上がる場合がある増築、大規模な改修、建物の主要構造部の修繕

参考:No.4606 倍率方式による土地の評価|国税庁

原則は固定資産税評価額のため変わらない

家屋の相続税評価額は、課税時期における固定資産税評価額(賦課期日である1月1日時点の価額)に基づいて算定が行われます。
固定資産税評価額は、自治体がその建物の価値を評価して定めている価額のことです。

一般的なリフォーム、例えば壁紙の張替えや外壁塗装工事は、建物の維持管理に必要な「修繕」とみなされます。
このような修繕を行ったとしても、市町村等が定める固定資産税評価額が即座に変更されることは基本的にありません。
したがって、多くのリフォームにおいては、相続税評価額に影響はないと考えてよいでしょう。

参考:【相続税の申告要否判定コーナー】-固定資産税評価額
   No.1379 修繕費とならないものの判定|国税庁

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リフォームの内容次第で固定資産税評価額は上がる

一方で、建物の価値を根本的に高めるような大規模なリフォームを行った場合は注意が必要です。
増改築となるリフォームや建物新築中の直後に相続が開始され、固定資産税評価額が決定していないときは、建築中の家屋の評価に準じて、建築費の70%相当額(財産評価基本通達91)で算定したものを相続税評価額とします。
主要構造部をやり直す改修は、価値が増加したとみなされる「資本的支出」に該当します。
相続税の申告期限までに固定資産税評価額が決定した場合は、その金額を使用するのが原則です。

しかし、固定資産税評価額の決定自体、外部に公表されているものではなく、決定の結果が、自治体から通知されるに過ぎません。
それまでは価値の増加分が上乗せされるリスクを考慮して、慎重に判断しなければなりません。

参考:No.2107 資本的支出を行った場合の減価償却|国税庁

そもそも家屋の相続税評価額はどう決まる?

リフォームの影響を詳しく理解するためには、そもそも家屋の相続税評価額がどのようなルールで決められているのかを知っておく必要があります。
不動産の評価は現金のように金額が明確ではないため、国が定めた統一的な基準に基づいて計算されます。

基準となる価額家屋の固定資産税評価額
決定機関各市町村(東京23区は特別区のため都)
通知方法固定資産税課税明細書(毎年送付)
見直しのタイミング3年に1回(評価替え)
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固定資産税評価額が評価の基準になる

家屋の相続税評価額は、その家屋の固定資産税評価額に評価倍率1.0を乗じるのが原則です。
固定資産税評価額とは、「固定資産税の課税明細書」に記載されている「価額」や「評価額」の欄の金額のことです。

この課税明細書は毎年4月1日以降に家屋が所在する自治体から送付されますが、記載されている評価額は1月1日時点の評価に基づいています。
なお、自治体により通知時期は異なります。

固定資産税評価額は、実際の建築費や市場での売買価格よりも低い金額に設定されることが多く、一般的に木造住宅では、建築費の60%から70%程度が目安と言われています。
この基準があるおかげで、私たちは建物の価値を客観的に把握し、相続税の計算を行うことができるのです。

参考:No.4602 土地家屋の評価|国税庁

固定資産税評価額は3年に一度見直される

固定資産税評価額は、一度決まったら永遠に変わらないわけではありません。
3年に一度、「評価替え」という見直しのタイミングがあります。
この評価替えの年に、建物の経年劣化分を考慮して固定資産税評価額が下がることが一般的です。

しかし、評価替えのタイミングとリフォームの時期が重なったり、市町村等が家屋調査を行ったりした場合には、リフォームによる価値の増加分が固定資産税評価額に反映されてしまい、固定資産税評価額が上がる改定がされるかもしれません。
もし、固定資産税評価額にリフォーム分がまだ反映されていない時期に相続が発生した場合は、ご自身でその増加分を計算して申告しなければなりません。

参考:増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価|国税庁 質疑応答事例

評価額が上がるリフォームとは?

具体的にどのようなリフォームを行うと、固定資産税評価額が上がり、それに伴い、相続税評価額が上がってしまうのでしょうか。

キーワードとなるのは「資本的支出」という概念であり、単なる修理ではなく、建物自体の価値や耐久性を高める工事がこれに該当します。
すなわち、「資本的支出」とは、建物の使用可能期間を延長させたり、資産としての価値を増加させたりするために支出した費用のことを指します。

項目評価額が上がるリフォームの特徴
税務上の区分資本的支出
目的建物の価値増加、使用可能期間の延長
計算方法(リフォーム費用 - 消費税)× 70%
具体例増築、オール電化の導入、高級システムキッチンへの入替

参考:No.1379 修繕費とならないものの判定|国税庁

建物の価値を高める「資本的支出」が対象となる

税務の世界では、リフォーム費用を「資本的支出」と「修繕費」の二つに分けて考えます。
このうち、相続税評価額に影響を与えるのは「資本的支出」に該当する部分です。
資本的支出となるリフォーム工事は、新たな財産価値が生まれたとみなされます。

つまり、使用可能期間が延長となる工事や価値を高める工事を行った場合、その分だけ相続税評価額がプラスされることになります。

増築や間取り変更などの大規模な工事も対象となる

最も分かりやすい例は「増築」です。
床面積が増えるような工事を行うと、明らかに建物の価値が増加するため、相続税評価額が上がります。

また、建物の骨組みだけを残して内装や設備をすべて新しくするような「スケルトンリフォーム」や、間取りを大きく変更する工事も、物理的な耐用年数を延ばす効果があると判断されやすいため、資本的支出とみなされる可能性が高くなります。

こうした大規模な工事を行った直後に相続が発生すると、リフォーム費用の一部が相続税評価額に上乗せされることになります。

設備のグレードアップも相続税評価額が上がる

建物の構造に関わる工事だけでなく、設備の交換であっても、評価額が上がるケースがあります。
例えば、通常のキッチンを最高級のシステムキッチンに入れ替えたり、在来工法の浴室を多機能なユニットバスに変更したりする場合です。

単に、古くなったものを同等の新品に交換するのではなく、機能やグレードが著しく向上した場合は、そのグレードアップ部分が建物の価値を高めたと判断されます。
ホームエレベーターの設置やオール電化への変更なども、資産価値を高める工事として扱われます。

価値上昇分の相続税評価額は費用から計算して加算する

リフォームによって建物の価値が上がった場合、その増加分をどのように相続税評価額へ反映させるのでしょうか。
固定資産税評価額が改定される前であれば、簡易的な計算式を用いて算定します。

具体的には、リフォームにかかった費用から消費税を除いた金額に、70%を掛けた額を、元の家屋の固定資産税評価額に加算します。
例えば、1,000万円(税抜)の資本的支出に該当するリフォームを行った場合、700万円が固定資産税評価額にプラスされるイメージです。
この計算により、リフォームで投じた現金の約7割が固定資産税評価額として残ることになります。
あくまでもイメージですので、実際の場面では、税理士等の専門家に依頼してください。

ただし、申告期限までに家屋の固定資産税評価額が決定した場合は、その決定額に評価倍率1.0を乗じた金額を使用します。
相続発生と固定資産税評価額決定のタイミングが、最終的な税負担を左右するのです。

参考:増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価|国税庁 質疑応答事例

相続税評価額が変わらないリフォームとは?

一方で、相続税評価額に影響を与えない、つまり固定資産税評価額が上がらないリフォームも数多く存在します。
これらは「修繕費」として扱われ、建物の維持管理に必要な経費とみなされるものです。

項目評価額が変わらないリフォームの特徴
税務上の区分修繕費
目的現状の維持、原状回復、破損の修理
評価への影響なし(固定資産税評価額のまま)
具体例外壁塗装、壁紙の張替え、雨漏り修理

現状維持のための「修繕費」は対象とならない

「修繕費」とは、建物の通常の維持管理や、壊れた部分を元に戻すためにかかった費用(原状回復費用)のことをいいます。
修繕費に該当するリフォームであれば、いくら費用をかけても建物の相続税評価額には加算されません。
これは、あくまで「マイナスの状態をゼロに戻した」あるいは「現在の価値を維持した」だけであり、建物としての新たな価値が生まれたわけではないと考えられるためです。

したがって、相続税対策として現金を減らしつつ、評価額を上げたくない場合には、この修繕費の範囲内でリフォームを行うことが効果的です。

外壁塗装や壁紙の張替えは「修繕費」となる

具体的な修繕費の代表例として挙げられるのが、外壁塗装や屋根の塗替えです。
これらは建物を雨風から守り、維持するために定期的に必要なメンテナンスであり、通常は修繕費として扱われます。
また、室内においても、壁紙(クロス)の張替えや、畳の表替え、フローリングのワックスがけなどは、通常の維持管理の範囲内とみなされます。
これらの工事は見た目を綺麗にしますが、建物の構造的な価値を根本的に高めるものではないため、評価額への影響を心配する必要はありません。

壊れた設備の原状回復も対象にならない

設備に関しても、故障した給湯器を同等の性能のものに交換したり、割れた窓ガラスを修理・交換したりといった「原状回復」のための工事は修繕費になります。
トイレや洗面台などの水回り設備も、経年劣化による交換で、かつ標準的なグレードのものであれば、基本的には修繕費として処理されます。

重要なのは「機能の向上」ではなく「機能の回復」であるという点です。
生活に必要な機能を維持するためのリフォームであれば、相続税評価額を上げることなく、住環境を改善することができるのです。

なぜ、リフォームが相続税対策になると言われるのか?

ここまでリフォームと相続税評価額の関係を見てきましたが、なぜリフォームが相続税対策として有効だと言われるのでしょうか。
その理由は、現金の性質と不動産の評価方法の違いをうまく活用できる点にあります。

対策手法節税の仕組み期待される効果
資産の組換え現金(評価額100%)を建物(評価額固定or70%)へ課税対象額の圧縮
特例の適用小規模宅地等の特例(特定同居親族等)土地評価額の80%減額
賃貸活用貸家建付地・貸家の評価減土地・建物評価額の減額

現金を不動産(資本的支出)に代えることで、相続財産の評価額を圧縮できる

相続税対策の基本は、相続財産の評価額を下げることです。
現金や預金は、額面そのものが相続税評価額となります。
つまり、1,000万円の現金を持っていれば、1,000万円に対して税金がかかります。

しかし、その現金を使ってリフォームを行うとどうなるでしょうか。
仮に1,000万円のリフォームを行い、それがすべて資本的支出(価値増加)だったとしても、評価額に加算されるのは費用の70%程度です※。
つまり、手元の現金1,000万円が建物という形に変わることで、評価額が約300万円圧縮されたことになります。
これがリフォームによる節税の第一の仕組みです。

※建物の新築や増改築の直後に相続が開始し、新たな評価額が決まっていないときは、原則として建築費の70%相当額を評価額とします。

修繕費の範囲なら評価額を上げず現金が減る

更に効果が大きいのは、リフォーム内容が「修繕費」に該当する場合です。
修繕費であれば、建物の評価額は上がりません。

例えば、500万円かけて外壁塗装や修繕を行ったとします。
手元の現金は500万円減りますが、建物の相続税評価額はリフォーム前と同じままです。
結果として、相続財産全体で見ると500万円分の評価額が丸ごと消滅したことになります。

親が快適に暮らせるようになり、かつ相続税の負担も減らせるため、修繕費の範囲でのリフォームは非常に効率的な対策と言えます。

二世帯住宅化で小規模宅地等の特例を狙う

「小規模宅地等の特例」とは、同居している親族が自宅敷地を相続した場合に、330㎡まで土地の評価額を80%減額できる制度のことです。
リフォームで親との同居環境を整えれば、将来この特例が適用できる可能性が高くなります。

近年、構造上区分された(内部で行き来できない)二世帯住宅でも、区分所有登記がされていなければ敷地全体に特例が適用可能となりました。
土地の評価を劇的に下げる効果があるため、相続税全体への影響は大きいと言えます。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

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小規模宅地等の特例を利用することで、土地の相続税評価額を最大で8割も下げられる可能性があります。

賃貸併用住宅にして貸付事業用宅地等の特例を狙う

実家が広い場合、リフォームをして一部を賃貸に出す「賃貸併用住宅」にするという選択肢もあります。

建物の一部を他人に貸すことで、その土地は「貸家建付地」、建物は「貸家」として評価されるようになります。
これにより、自用(自分たちだけで住む)の場合に比べて、土地や建物の評価額を下げることが可能です。
さらに「貸付事業用宅地等」に該当すれば、200㎡まで土地評価を50%減額できます。

また、家賃収入を得られるため、納税資金の確保や老後の資金繰りにも役立ちます。
ただし、空室リスクや管理の手間も発生するため、経営的な視点での検討も必要になります。

相続税対策でリフォームする前の注意点は?

リフォームによる相続対策を成功させるには、費用の出どころや時期、ローンの組み方などに特有のルールがあることを理解しておく必要があります。
事前の準備を怠ると、税務署から「不自然な節税」とみなされる可能性も否定できません。

以下に主要な注意点と対策をまとめました。

注意点発生し得るリスク対策
費用負担者贈与税の課税所有者本人が費用を出す
リフォーム時期相続税対策の否認早めの着手・完了
債務控除ローン残債を控除できない団信加入の有無を確認

子が費用を出すと親への贈与税が発生する

リフォームや修繕は、建物の所有者である親自身がその費用を負担することで、直接的な節税効果を発揮します。
親の資産から工事費が支払われることで、現預金という相続財産そのものが減少するからです。

もし、子がその費用を全額出してしまうと、親に対して「建物価値の上昇」という利益を贈与したとみなされるリスクがあります。
相続税を減らすつもりが、予期せぬ贈与税を課されては本末転倒です。

まずは、親が理想の生活や夢の実現のために、安心して使える金額がいくらあるのか、「財産の棚卸し」をして資産と負債の全体像を把握することが大切です。

共有名義物件は費用負担の割合に注意する

実家が父と母の共有名義、あるいは親と子の共有名義になっている場合も注意が必要です。
共有状態は「争いの火種」とも呼ばれ、売却や大規模修繕をする際に共有者全員の同意が必要になるなど、管理や処分が非常に困難になるからです。

リフォーム費用は、その持分割合に応じて負担するのが原則です。
例えば、親と子が50%ずつ共有している家で、リフォーム費用の全額を親が出してしまうと、子の持分に対するリフォーム費用分について、親から子への贈与があったとみなされるおそれがあります。

共有名義の不動産をリフォームする際は、誰がいくら負担するのかを明確にし、持分割合と負担割合にズレが生じないように調整する必要があります。

参考:民法249条、253条

相続直前のリフォームは税務署に否認される

親の体調が悪化してから、慌ててリフォーム契約を結ぶような「駆け込みリフォーム」はリスクが高いです。
特に、認知症などで意思能力がないと判断されると、リフォームの契約や銀行ローンの借入れといった法律行為が一切できなくなってしまいます。

リフォーム工事が完了する前に相続が発生してしまうと、支払った手付金などは「前払金」などの債権として評価され、現金のまま持っていたのと同じ扱いになることがあります。
また、明らかに相続税を減らすことだけを目的とした不自然な時期や内容のリフォームは、税務署から否認される可能性もゼロではありません。
リフォームによる対策は、親が元気なうちに、余裕を持って計画的に進めることが大切です。

参考:意思能力制度の明文化

ローンを組むと債務控除が使えないこともある

「債務控除」とは、相続発生時に残っているローン残高などの債務を相続財産の価額から差し引くことができる制度のことです。
リフォーム費用を銀行ローンで賄う場合、通常はこの債務控除が使えます。

しかし、団体信用生命保険(団信)付きのリフォームローンを組んでいた場合は注意が必要です。
親が亡くなると同時に団信の保険金でローンが完済されるため、相続人が引き継ぐ債務がなくなり、債務控除が使えなくなります。
手元の現金を減らさず、かつ債務も引けないとなれば、相続税を減らす効果は薄れてしまうでしょう。

現金を一気に減らすか、あえて債務を残すのか、どちらが全体の税負担を抑えられるかは、二世代先の相続まで見据えたシミュレーションが必要です。
単純な損得だけでなく、ライフプランに合った資金計画を立ててください。

参考:No.4126 相続財産から控除できる債務|国税庁

申告漏れは税務調査で発覚しやすい

「リフォームで評価額が上がっても、黙っていればバレないだろう」と考えるのは危険です。
税務署が行う税務調査では、被相続人の過去数年分にわたる預金履歴が徹底的に調査されるからです。
相続税の税務調査が入る確率は3割程度ですが、その主なターゲットは申告漏れの金融資産です。

そこから工務店やハウスメーカーへの多額の出金が見つかれば、当然「これは何のための出金か?」「リフォームをしたなら評価額に反映されているか?」と追及されます。
リフォームの事実は隠せるものではありません。
適切な評価を行い、正しく申告することが、結果として加算税などのペナルティを防ぐ最善の策となります。

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資本的支出か修繕費か判断に迷ったら税理士に相談した方がよい理由は?

リフォーム工事の内容が「資本的支出」にあたるのか、「修繕費」で済むのかの線引きは、実務上非常に判断が難しい場合があります。
一つの工事の中に両方の要素が混在していることも珍しくありません。
工事の目的や内容を正確に見極めるためには、専門家による客観的な分析を頼ることも重要です。
最後に税理士に相談するメリットを紹介します。

相談するメリット具体的な支援内容
正確な判断工事見積書からの費用の仕訳
リスク回避税務調査での指摘対策
トータルサポート二次相続まで見据えた提案

判断を誤ると追徴課税のリスクがある

ご自身で「これは修繕費だろう」と判断して申告し、後から税務調査で「資本的支出である」と指摘を受けた場合、過少申告加算税や延滞税といった追徴課税分の相続税を負担することになります。

逆に、本来は評価額を上げなくて済む修繕費を資本的支出として申告してしまい、無駄に高い相続税を納めてしまうケースもあり得ます。
税務上の正しい区分を行うには、専門的な知識が求められます。
工事の見積書や契約書の内容を精査することも、その判断に必要な作業の一つです。

税理士に相談すれば適切な申告を行うことができる

相続税対策としてリフォームを検討する段階から、相続税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
どの程度のリフォームなら効果的か、費用対効果のシミュレーションを行ってもらうことも可能です。

また、相続発生後の申告においても、税理士が関与することで、リフォーム内容の適切な評価と説明が可能になり、税務署に対する信頼性も高まります。
親御さんのためのリフォームを、将来の安心につなげるためにも、専門家の知見をうまく活用してください。

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まとめ

この記事の要点をまとめます。

  1. 建物のリフォームによる相続税評価額は、固定資産税評価額が基準となるため、通常の修繕では変わらないが、価値を高める工事では上がる可能性がある。
  2. 相続税対策としてリフォームを行う際は、現金を建物に変えることによる評価減効果や、小規模宅地等の特例適用を狙う方法が有効である。
  3. 親名義の建物のリフォーム費用を子が負担すると贈与税のリスクがあるため、資金負担や名義については専門家と相談して慎重に進めるべきである。
  4. リフォームによる節税は、専門的な判断が必要になるため、税理士へ相談するのが安心

実家のリフォームは、親御さんの暮らしを豊かにすると同時に、適切な方法で行えば将来の相続税負担を軽減する賢い選択となります。
まずはリフォームの目的を明確にし、税理士などの専門家を交えて計画を立てることから始めてみてはいかがでしょうか。

松谷 幸三(相続専門の税理士)

この記事の監修者

フジ総合グループ 大阪事務所 社員税理士 松谷 幸三(まつや こうぞう)|税理士
国税専門官として税務署及び国税局に在籍。
大蔵省及び法務局へも出向し、知見を深める。
税理士、宅地建物取引士及び賃貸不動産経営管理士として、フジ総合グループ大阪事務所にて、相続税を中心に幅広い相続・不動産関連業務に携わる。
藤宮 浩(不動産鑑定士)

この記事の監修者

フジ総合グループ代表 藤宮 浩(ふじみや ひろし)|不動産鑑定士
フジ総合グループの代表を務め、年間1,100件以上の相続関連案件の土地評価に携わる。
相続税還付業務の第一人者として各地での講演を多数行うほか、テレビ、雑誌、新聞など、各種媒体への出演、寄稿も行う。

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